ロシアの検索大手Yandex、メディア事業からの撤退を検討中と投資家に説明

ロシアのインターネット大手Yandex(ヤンデックス)は、同社のメディア製品について「戦略的オプション」を模索していると投資家に語った。その中には、ニュースアグリゲーターのYandex Newsや、ユーザー生成コンテンツの推薦とブログの「インフォテインメント」プラットフォームであるZenの売却の可能性も含まれている。

このディスクロージャーは、米国時間3月16日に報じた、YandexがYandex NewsとZenの売却に向けて協議中であるという情報筋の話を裏付けるものだ。

この動きは、ウクライナ侵攻開始以来、ロシア国家による表現の自由に対する規制が強化されていることによるリスクと関連していると、情報筋は指摘する。この中には、ロシア軍に関する「偽」情報(クレムリンが好む「特別軍事作戦」という表現ではなく、ウクライナでの「戦争」に言及するなど)を流した者に長期の禁錮刑を科す恐れがある新しい法律が含まれている。

Yandexは中央ヨーロッパ時間3月18日、投資家向けの声明の中で、「ニュースアグリゲーションサービスとインフォテインメントプラットフォームのZenについて、売却を含むさまざまな戦略的オプションを検討します」と記している。

「当社は、その他のテクノロジー関連事業および製品(検索、広告、自動運転、クラウドなど)、トランザクションサービス(ライドヘイリング、eコマース、ビデオ / オーディオ、ストリーミングなど)の開発に注力する意向です」と同社は付け加えた。

Yandexの広報担当者は、Yandex NewsとZenの売却について協議中であることを確認した。

「ニュースアグリゲーションサービスとインフォテインメントプラットフォームのZenについて、売却を含むさまざまな戦略的オプションを検討していることを確認します」と同担当者は述べた。

同社はメディア製品の買い手候補について公のコメントを出していないが、内情に詳しい情報筋は先に、ロシアのソーシャルメディア大手VKが有力候補だと話していた。

Yandexは投資家向けの将来予測に関する声明で、売却プロセスが「初期段階にある」ことを示唆し「買い手の特定、許容できる条件の交渉、取引の締結に成功する保証はない」とも投資家に警告している。

オランダに籍を置くロシア企業である同社は、時価総額が68億ドル(約8106億円)だった2月25日に取引を停止している。

画像クレジット:Alexander RyuminTASS / Getty Images(Image has been modified)

原文へ

(文:Natasha Lomas、翻訳:Den Nakano)

投稿者:

TechCrunch Japan

TechCrunchは2005年にシリコンバレーでスタートし、スタートアップ企業の紹介やインターネットの新しいプロダクトのレビュー、そして業界の重要なニュースを扱うテクノロジーメディアとして成長してきました。現在、米国を始め、欧州、アジア地域のテクノロジー業界の話題をカバーしています。そして、米国では2010年9月に世界的なオンラインメディア企業のAOLの傘下となりその運営が続けられています。 日本では2006年6月から翻訳版となるTechCrunch Japanが産声を上げてスタートしています。その後、日本でのオリジナル記事の投稿やイベントなどを開催しています。なお、TechCrunch Japanも2011年4月1日より米国と同様に米AOLの日本法人AOLオンライン・ジャパンにより運営されています。