ロボットが居る、今そこにある未来

TO GO WITH STORY BY KATHY KATAYI AND JUNIOR KANNAH
This picture taken on January 22, 2014 shows a traffic robot cop on Triomphal boulevard of Kinshasa at the crossing of Asosa, Huileries and Patrice Lubumba streets. Two human-like robots were recently installed here to help tackle the hectic traffic usually experienced in the area. The prototypes are equipped with four cameras that allow them to record traffic flow, the information is then transmitted to a center where traffic infractions can be analyzed. The team behind the new robots are a group of Congolese engineers based at the Kinshasa Higher Institute of Applied Technique, known by its French acronym, ISTA. AFP PHOTO / JUNIOR D. KANNAH        (Photo credit should read Junior D. Kannah/AFP/Getty Images)

【編集部注】著者のAllan Martison氏はStarship TechnologiesのCOOである。

Walmartは、自律ショッピングカートの実験を行っている。Domino、Uber、そしてAuroは自動運転に多額の投資を行っている。ロボットは、警備員として働き、手術を行い、食料品店の在庫をチェックし、倉庫作業を支援し、ルームサービスを届け、海底の宝物を探してくれさえする。

ロボット工学が制御された環境を離れて、人間の側の実世界に関わるようになるとき、疑問が残される:私たちがロボットとお互いにやりとりを行い、働き、語りかけるやりかたにどのような影響を与えるのだろうか?

マシンとの相互作用

すでに操縦者がオートパイロットを使って、ドローン、調査ロボット、そして自動運転車を操作しているところを見ることは当たり前になってきている。これらは、単なるサイエンスフィクションの中の壮大なビジョンではない;それはいまや現実なのだ。そして、私たちの日常生活におけるロボット利用の最も驚くべき成果の1つは、ほとんどの人が、それにまったく気づいていないようだということだ。

例えば、自動配達のために使用されるロボットが、より普及するにつれ、あなたの通勤の足が、そこにいる誰か他の人によって提供されるだけでなく、他の人々の流れに違和感なく混ざった異なる形状や大きさのロボットによって提供されることも考えられる。

あなたが食料品の買い物をしているときに、頭上をドローンが飛んで在庫のチェックを行う一方で、自動ショッピングカートが後をついてくる。その一方、裏の倉庫ではロボットたちが忙しくアイテムを選び出し、オーダーに応えるために商品をある箇所から別の箇所へと動かしていく。

これは、すでにサンフランシスコのStanford Shopping CenterとUserの自動車検査場で見ることができる。私たちのオフィス、ショッピングモール、そして小売店は、人間の警備員が伴ったマシン警備員によって保護される。

OceanOneのようなロボットも登場するだろう。深海作業でダイバーと一緒に働き、ダイバーが到達できない深度から宝物のようなアイテムとデータを回収する人魚のようなロボットだ。実際、人類がこれまで敢えて行こうとしていなかった場所で私たちと一緒に働いてくれる、様々なロボットがこの先生み出されることだろう。

ロボットの存在で、法律や規制はどのように変わるのだろう?

ロボットは、誰と何が公共の場所を移動することを許されるのかについての、新たな先例を設定する。現在、歩道上を走る自律車両に関する規制は、市ごとそして国ごとに異なっている。しかし、一つだけ確かなことがある。ロボットが日常的なものになるにつれ、議会はより注意を払わなければならなくなり、ロボットとそれを使う企業に対する規制と保護を決めていく必要がある。

欧州議会が今年5月に起草し、欧州委員会に考慮を促した動きは、以下のようなものだった「少なくとも、最も洗練された自律ロボットは、特定の権利と義務を有する『電子人間』(electronic persons)のステータスを持つものとして扱うことが可能である」。これは、人間の労働者に対する場合と同じように、ロボットに対する社会保障を支払う責任を企業に負わせるものだ。

すでに操縦者がオートパイロットを使って、ドローン、調査ロボット、そして自動運転車を操作しているところを見ることは当たり前になってきている。

法案はまた、自律ロボットと法的責任をカバーする基金の設定を同時に行う登録制度を提案したり、組織が人間の代わりにロボットを使うことによって可能になった社会保障の節約額を税収のために宣言させることを提案したりしている。この動きにはドイツのVDMA(エンジニアリング協会)などの組織からの強烈な反対が起きていて、議会を通過するには多大な政治的バックアップを必要とするだろう。結果はどうであれ、この動きはロボットの権利とそれらに対する人間の責任に関する重要な疑問に光を当てることになった。

米国内には、既にロボットが特定の作業をすることが許された場所が沢山ある一方で、多くの州ではまだ具体的な規制の検討が必要とされていない。ワシントンD.C.が最近、「Personal Delivery Device Act of 2016(パーソナル配送デバイス法2016)」という法律を制定して米国におけるロボット規制に先鞭をつけた。この法律は配送ロボットに関する規則と規制を概説し、そして、この種のロボットが今後国の首都内で稼働することを許諾したものだ。この法律は、より多くの市や州が、こうした新しいテクノロジーに対処する重要性に気づかせるための1つの例となるだろう。

連邦航空局(FAA)は、メーカーや政治家からの多大な圧力を受けた後、6月に55ポンド以下の小型ドローンの商用利用に関する運用規則を発表した。規則は、多くの者が望んでいたものよりも厳しいものだった。パイロットは有資格者でなければならず、ドローンは常に視界の中に留まっている必要がある。パイロットはまた、移動する車両に乗っていることはできず、またTSA(運行安全局)による審査を受ける必要がある。

規制によれば、ドローンは最高で400フィート(約121メートル)の高さまでしか飛ぶことができない。伝えられる限り、規則への反応は好意的なものが多かったが、その影響で、Amazonはドローン配送のテストをより田舎や郊外の地域で行うために英国政府とパートナーを組むことになった。英国民間航空局はAmazonに、FAAの規制では拒否された配送テストの許可を与えた。

自律型ロボットの登場が、多くの日常タスクに対する私たちの理解を変えてしまうことは間違いない。それはサービス提供者や配送業者との対話のやりかたを変えてしまう。私たちのロボットに対する認識は、道路上、ショッピングセンター、そして家庭でありふれたものになるにつれ、進化を続ける。毎日の通勤で、仕事の場で、そして余暇の時間で、ロボットと人間のやりとりは普通のものとなって行くだろう。

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(翻訳:Sako)

投稿者:

TechCrunch Japan

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