ロボットの皮膚の3Dプリントを研究しているMITのチームが自己防衛のために色を変える甲虫から重要なヒントを得た

Subramanian Sundaramのチームは、3Dプリントによるロボットの制作で行き詰まったとき、ロボット屋さんがよくやることだが、自然へと目を向けた。そしてこのMITの研究者たちのチームはごく最近、golden tortoise beetle(ゴールデンカメノコハムシ)から、ヒントをいただいた。それは、ユニークなカモフラージュを習性とする、北米原産の甲虫類だ。

脅威に直面すると、この甲虫の甲の金色が消えて、半透明の赤茶色になる。MITの科学者たちは、未来のロボットの皮膚…本体表面のセンサーなどを保護する…になることを目指して、柔軟性のある薄膜を3Dプリントで作ることを目指していたが、甲虫のこの振る舞いを見てアイデアがひらめいた。

このバイオミミクリー(biomimicry)について、長期的な研究のごく一部で自然からヒントを得たことを、Sundaramは謙虚に語る: “人間の能力はまだとても後れているから、どうしても自然に頼ろうとする”。とは言っても、人間が生物の種を作り出すことはまだまだできない、と彼は述べる。

彼はこう語る: “月を目指していたけど、やっと木のてっぺんに到達したようなものだ。ヒントを得るために甲虫を研究したが、このようなものを人間が作れるようになるのは、まだまだ遠い先の話だ。生物の能力は桁外れにすごい。われわれはそのごく一部を借りようとしているだけだが、それでも、その機能の実装はとても難しい”。

今回チームは、甲虫の単純な自己防衛能力を借りて、3Dプリントで作った柔軟な基質に、光学的な変化を作り出そうとした。“センサーが何かをセンスしたら、皮膚の色が変わるようにしたかった”、とSundaramは語る。“反応とそれに対する動作の起動(アクチュエーション)は、3Dプリントの最大の問題のひとつだが、光学的な変化なら比較的容易だ”。

彼らの3Dプリントプロセスは、6種類の素材を3DプリンターMultiFab 3Dに通すことによって行われる。そしてそのプリント物に銅とセラミック製のヒーターを使い、半導体性のプラスチックを挿入する。その一回の3Dプリントプロセスで、チームは、自然の機能を模倣する回路基板を作ることができた。

大量のセンサーを搭載したロボットを3Dプリントするためには、この技術がそのための重要な一歩だ、とチームは信じている。同じくMITの別のチームが、加熱すると形を変えるロボットの3Dプリントを研究しているが、自然の模倣は、彼らにとっても参考になるだろう。

[原文へ]
(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

投稿者:

TechCrunch Japan

TechCrunchは2005年にシリコンバレーでスタートし、スタートアップ企業の紹介やインターネットの新しいプロダクトのレビュー、そして業界の重要なニュースを扱うテクノロジーメディアとして成長してきました。現在、米国を始め、欧州、アジア地域のテクノロジー業界の話題をカバーしています。そして、米国では2010年9月に世界的なオンラインメディア企業のAOLの傘下となりその運営が続けられています。 日本では2006年6月から翻訳版となるTechCrunch Japanが産声を上げてスタートしています。その後、日本でのオリジナル記事の投稿やイベントなどを開催しています。なお、TechCrunch Japanも2011年4月1日より米国と同様に米AOLの日本法人AOLオンライン・ジャパンにより運営されています。