ヴァージン・オービットが初の商業ペイロード輸送の打ち上げに成功

Virgin Orbit(ヴァージン・オービット)が、初の商業打ち上げを成功させた。これにより、宇宙へのペイロード輸送の実績がある小型衛星打ち上げ業者が、正式にもう1社誕生したことになる。ヴァージン・オービットのLauncherOne(ランチャーワン)ロケットは、東部夏時間の午前11時45分頃に運搬用航空機から発射され、一連のエンジン燃焼とステージ分離に成功して地球低軌道に到達した。

今回の打ち上げでヴァージン・オービットは、オランダ初の防衛衛星や、米国防総省が推進するRapid Agile Launch Initiative(ラピッド・アジャイル・ローンチ・イニシアティブ)のために開発されたキューブサット(超小型衛星)など、7つのペイロードを輸送した。このイニシアティブでは、柔軟性の高い打ち上げプラットフォームを用いて、比較的迅速に小型の宇宙船を宇宙に送り出すことの可能性を検証しようとしているが、ヴァージン・オービットは一般的な滑走路から水平に離陸することができるので、米国防総省の構想に適う打ち上げが可能だ。

ヴァージン・オービットは、ポーランドのスタートアップ企業であるSatRevolution(サットレボリューション)から2基の地球観測衛星の輸送も請けている。同社が計画している14機の衛星コンステレーションを構築するため、今後もさらに多くの衛星を運ぶ予定だ。

2021年1月、ヴァージン・オービットは最後の試験飛行ミッションを完了し、LauncherOneによる初めての軌道投入に成功した。それが今回の商業打ち上げへの道を開いたわけだが、同社は今後、商業ミッションのペースと頻度を高めていくことを計画しており、2021年後半に少なくともあと1回、2022年にはさらに多くのミッションを予定している。

ヴァージン・オービットのLauncherOneは、地球低軌道に約500kgのペイロードを輸送することができる。これは同じ目的地に約300kgまでの積載物を運搬できるRocket Lab(ロケットラボ)のElectron(エレクトロン)と比べても勝っている。

これは現在多くの需要がある小型衛星事業者向けのサービスとして適しており、SpaceX(スペースX)も同様のライドシェアリング・ミッションを提供しているが、ヴァージン・オービットは、小規模な衛星コンステレーションのために数機の小型宇宙船を打ち上げたいと考えている事業者に、より専門的なサービスを提供できる潜在能力を持っている。また、前述したようにヴァージン・オービットの打ち上げシステムは、さまざまな場所から離陸が可能であるため、将来的にはそれが防衛・安全保障産業において高い競争力を発揮する大きな利点となるだろう。

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カテゴリー:宇宙
タグ:Virgin OrbitLauncherOneロケット

画像クレジット:Virgin Orbit

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(文:Darrell Etherington、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

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TechCrunch Japan

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