ヴォラーレが1.75億円を調達、ディレクトリ型アプリ検索「Appliv」にSEO事業の知見を投入

ヴォラーレは2007年に創業されたスタートアップで、主にSEOを中心としたコンサルティング事業や自社サービスの運営を行っている。そのヴォラーレが本日、日本ベンチャーキャピタル、元クックパッドCFOの成松淳氏を引受先とした総額1.75億円の資金調達を実施した。

ヴォラーレはSEO/コンサルティング事業で経営は順調なようだが、今回調達した資金を自社サービスの運営に充て、サービスの拡大を目指すという。ヴォラーレ代表取締役社長の高橋飛翔氏は創業後から主にB向けの事業を展開していたが、昔からC向けのサービスを展開したいと考えており、2011年12月ごろからはアプリ発見サービス「Appliv」に注力してきた。

ApplivはブラウザベースでiOSアプリを発見するためのサービスで、各アプリにはヴォラーレの公式レビューとユーザーからのレビューが掲載されている。App Storeではスクリーンショットと短いアプリ紹介分だけで情報が少ないが、Applivではどのようなアプリかを詳しく掲載することで目的に合ったアプリを発見しやすくしている。

このサービスがリリースされたのは昨年8月で、現在は月間UU(ユニークユーザー)120万、600万PVほどにまで成長しており、レビューはヴォラーレ公式のものを含め1万8,000件ほど掲載されている状態だ。

ヴォラーレは以前TwizardといったTwitterクライアントも提供していたが、今は主にApplivに絞って展開している。この事業に注力した理由の1つはSEO事業で培った技術、知識を活かせるサービスだからであると高橋氏はいう。

では、実際にどのような点でこのサービスにSEOのノウハウが活かされているのだろうか。それはCGM型のサービスであり、ディレクトリ構造にしている点である。

CGM型のサービスでは飲食店なら食べログ、料理ならクックパッドが有名であるが、これらでSEOは非常に重要であるという。前者なら「地名+料理のカテゴリ」、後者なら「食材名+調理法」などの検索ワードで上位に表示されることはトラフィックを集めるには大切である(もちろん、その前に検索対象となるコンテンツも必要だが)。

また、ApplivはApp Storeのカテゴリよりも細かく1,200個以上にカテゴライズされていて、細かなディレクトリ構造を取っている。例えばApp Storeでは「ファイナンス」という1つのカテゴリになっているが、Applivではその下の階層に「投資・資産運用」、「家計簿」、「計算機」というように細かく分けられている。このディレクトリ構造はSEO的にも有効なのだという。

このディレクトリ構造についてはSEO事業会社としての視点を高橋氏は語ってくれた。「Web領域においては、Yahoo!のディレクトリ型検索エンジンに対し、Googleのロボット型検索エンジンが勝利したという歴史があるが、アプリ領域においてはロボット型検索エンジンを確立することは困難である」そうだ。

なぜ、アプリ領域でロボット型検索エンジンが機能しないのかというと、Googleの検索エンジンはテキストコンテンツやハイパーリンクなどを解析することで主に検索結果の表示順位を決定しているが、アプリにはテキストコンテンツがない場合もあるし、アプリ間をハイパーリンクが繋いでいるという状況でもないからだそうだ。

このような背景から現状のiOS、Androidアプリマーケットではロボット型検索エンジンは機能しないと考え、ApplivではWeb上でテキストのレビューを掲載し、ディレクトリ構造を取ってハイパーリンクを繋ぎ、ロボット型検索エンジンが機能するようにしているという。このような仮説を基にSEO事業で培ったノウハウを活かしているようだ。

さて、今後の展開についてだが、早速本日から新たに「Appliv Ad」という成果報酬型の広告サービスを提供するようだ。広告主が予算の上限を決めると自動的にAppliv内で最適な箇所にアプリを目立たせて表示してくれる。広告のリンク先はAppliv内のレビューページで、料金が発生するタイミングはユーザーがレビューを読み、App Storeへのリンクを踏んだ時となっている。

高橋氏は「リワード広告などではなく、レビューをしっかり読んで興味を持った人がインストールすることでアクティブ率も高くなるのではないか」と語る。

なお、前述の通りApplivは現在iOSアプリのみの掲載となっているが、今年末までにはAndroidアプリの掲載も予定しているそうだ。


投稿者:

TechCrunch Japan

TechCrunchは2005年にシリコンバレーでスタートし、スタートアップ企業の紹介やインターネットの新しいプロダクトのレビュー、そして業界の重要なニュースを扱うテクノロジーメディアとして成長してきました。現在、米国を始め、欧州、アジア地域のテクノロジー業界の話題をカバーしています。そして、米国では2010年9月に世界的なオンラインメディア企業のAOLの傘下となりその運営が続けられています。 日本では2006年6月から翻訳版となるTechCrunch Japanが産声を上げてスタートしています。その後、日本でのオリジナル記事の投稿やイベントなどを開催しています。なお、TechCrunch Japanも2011年4月1日より米国と同様に米AOLの日本法人AOLオンライン・ジャパンにより運営されています。