不動産の物件確認をAIで自動化する「スマート物確」のライナフがLIFULL HOME’Sと「おとり広告」撲滅の取り組み

不動産の物件確認をAIで自動化する「スマート物確」のライナフがLIFULL HOME’Sと「おとり広告」撲滅の取り組み

ライナフは8月26日、LIFULL(ライフル)とともに、不動産・住宅情報サイト「LIFULL HOME’S」に掲載された、顧客を寄せ付けるために表示される架空広告「おとり広告」を自動的に非掲載にする取り組みを、三菱地所ハウスネット協力のもと実施した。不動産における物件情報の透明性・精度の向上を目的とするものという。

また同実証実験の結果として、特に東京都23区の副都心部エリアで、1人暮らし向け物件が非掲載対象のボリュームゾーンであることもわかった。

物件情報サイトに掲載される物件広告の多くは、物件を仲介する各仲介会社によって掲載・非掲載の情報更新が行われる。仲介会社は、定期的に管理会社へ電話などで物件確認(物確)をすることで、その物件の最新情報を取得し、広告掲載に反映している。

ただそのつど手動で更新作業を行うため、どうしてもタイムラグが発生してしまい、意図せず成約済みの広告が掲載されたままになってしまうことがあるという。またその状態を悪用し、人気物件の広告をあえて掲載させたままにし、意図的に問い合わせを増やす行為も一部で横行している。

こうした悪質な広告を「おとり広告」といい、不動産業界において根深い問題となっている。おとり広告については、宅地建物取引業法32条、不動産の表示に関する公正競争規約の21条によって禁止されており、物件の実在有無に関わらず、取引のできない物件や、取引する意志のない物件広告などが該当するという。

ライナフは、これまでも不動産業界の健全化のためにIT技術の提供やパートナー企業との協業を通じて取り組んでおり、今回長らくまん延するおとり広告排除に向けて、LIFULL HOME’Sと連携し、自動非掲載にできる仕組みを導入した。

ライナフが提供する「スマート物確」と「LIFULL HOME’S」をシステム連携

取り組み内容は、ライナフのAIによって物件確認を自動化するサービス「スマート物確」とLIFULL HOME’Sをシステム連携させることで、自動でLIFULL HOME’Sに掲載される「おとり広告」を非掲載にするというもの。スマート物確から得られる、管理会社が保有する入居の募集・非募集の情報をLIFULL HOME’Sと照合することで、人の手を介すことなくLIFULL HOME’Sへの物件広告を非掲載にできるとしている。

また今回、スマート物確を利用する三菱地所ハウスネット協力のもと、スマート物確に登録されている約1万5000戸の管理物件を対象に実証実験を行った。その結果、1カ月間で1000戸以上の非掲載対象の広告を検知し、非掲載処理を実施した。また、非掲載対象のボリュームゾーンが、東京都23区の副都心部エリア、家賃が10万円〜12万円台、1人暮らし向けの物件であることがわかったという(検知されたLIFULL HOME’S掲載物件を賃料・間取り・エリアで件数集計した結果より。集計期間:2021年5月12日〜6月30日)。

ライナフは、同取り組みによって、仲介会社は管理会社へ物確する手間がなくなることに加え、手動の情報更新作業がなくなるため人為的なミスがなくなり、業務効率化が図れるとしている。

さらにライナフは、企業としてのコンプライアンス遵守を挙げている。消費者に対しては、誤った広告表示がなくなることで、正しい情報を発信できるようになる。スマート物確とのシステム連携によって自動管理が可能になるため、管理会社・仲介会社・消費者に至るまで、物件情報の透明性・統一性を保てるとしている。

2014年11月設立のライナフは、AIとIoTの最新技術を活用した不動産管理ソリューション「ライナフスマートサービス」を展開。美和ロックと共同開発の住宅向けスマートロック「NinjaLockM」をはじめ、入居前のリーシング業務から入居後の物件管理に至るまで、不動産管理業務を効率化するサービスを提供している。

スマート物確は、AIによる音声案内で物件の確認応対を自動化するサービス。あらかじめ管理する物件情報をスマート物確に登録しておくことで、24時間365日、物件確認の電話にAIが応答するという。電話に加え、LINEでも物確が可能。

投稿者:

TechCrunch Japan

TechCrunchは2005年にシリコンバレーでスタートし、スタートアップ企業の紹介やインターネットの新しいプロダクトのレビュー、そして業界の重要なニュースを扱うテクノロジーメディアとして成長してきました。現在、米国を始め、欧州、アジア地域のテクノロジー業界の話題をカバーしています。そして、米国では2010年9月に世界的なオンラインメディア企業のAOLの傘下となりその運営が続けられています。 日本では2006年6月から翻訳版となるTechCrunch Japanが産声を上げてスタートしています。その後、日本でのオリジナル記事の投稿やイベントなどを開催しています。なお、TechCrunch Japanも2011年4月1日より米国と同様に米AOLの日本法人AOLオンライン・ジャパンにより運営されています。