不動産市場全体をリアルタイムビッグデータとして表現し操作したいVTSが$21Mを調達

vts

不動産売買のVTS(元View The Space)が、OpenView Venture Partners率いるシリーズBのラウンドにより2100万ドルの資金を調達した。これに参加した既存の投資家Trinity Partnersは、VTSの評価額をほぼ1億ドルとしている。今回の資金の用途は、不動産取引におけるデータの活用の拡大、だ。

OpenViewのAdam Marcusはこう言う、“不動産は市場がきわめて大きいし、資産分類の中でも世界最大だ。それなのに不動産を管理している人びとの仕事のやり方は原始的だ。いまだに、何もかもExcelだし、情報は紙でやりとりされている”。

不動産売買に関わる人たち(ブローカー、物件のオーナー、投融資者など)がVTSを利用すると、彼らは任意のデバイスからいつでもリアルタイムでコラボレーションでき、自分たちのポートフォリオを管理できる。今出ている物件とそれらの見込み客たちが、このプラットホームの上で出会い、各ユーザ(アクセス者)に提供されるダッシュボード上に、関連物件とその所有者、そしてそれらの市場動向などが、総覧される。〔余計な訳注: 日本の不動産サイトのかったるさ、徒労感、ありゃーヒドイわ!! 〕

VTS phone

不動産売買の市場規模は12兆ドルと言われる。その意思決定がデータドリブンになれば、費用効率の向上も膨大な額になるだろう。

たとえばニューヨークのビルのオーナーが、ブローカーたちから、新しいスペースを探しているテクノロジ企業が前年より2割以上増えている、という最新情報を入手したとしよう。オーナーは一部の壁を壊し、会議室をたくさん作り、スタートアップたちの入居にふさわしいビルにするだろう。そして、お客にテク企業が多いブローカーにこのビルを持ち込む。ビルの改造に投じた費用が、大きく生きることになるだろう。

VTSの協同ファウンダRyan MasielloとNick Romitoは、9年間、ニューヨークでブローカーをやっていた。だから彼らは、不動産取引の痛いところも痒いところも、すべてよく知っている。

VTSがそのプラットホーム上で扱っているオフィススペースの総量は、約15億平方フィートだ。ご参考までに、ニューヨーク、マンハッタンの全オフィススペース(2013年)が5億2000万平方フィートだ(これはもちろん物件として出回っている量の総量ではない)。今では同サービスを、BlackstoneやJLLのような大手ブローカーや大家(おおや)たちも利用している。

今回の資金は海外進出にも投じられ、年内にロンドンとシドニーにオフィスを開く。

Romitoは語る、“今の不動産業界のエコシステムの、一員だとも、一員になりたいとも、思ったことはない。われわれ自身が新しいエコシステムになって、すべての不動産売買がその上で行われるようにしたい。それにはあと2年か、あるいは5年はかかると思うけど、でも我が社の今の成長スピードは、予想の10倍はいってるね”。

[原文へ]
(翻訳:iwatani(a.k.a.
hiwa

投稿者:

TechCrunch Japan

TechCrunchは2005年にシリコンバレーでスタートし、スタートアップ企業の紹介やインターネットの新しいプロダクトのレビュー、そして業界の重要なニュースを扱うテクノロジーメディアとして成長してきました。現在、米国を始め、欧州、アジア地域のテクノロジー業界の話題をカバーしています。そして、米国では2010年9月に世界的なオンラインメディア企業のAOLの傘下となりその運営が続けられています。 日本では2006年6月から翻訳版となるTechCrunch Japanが産声を上げてスタートしています。その後、日本でのオリジナル記事の投稿やイベントなどを開催しています。なお、TechCrunch Japanも2011年4月1日より米国と同様に米AOLの日本法人AOLオンライン・ジャパンにより運営されています。