不動産販売員の独立を支援するSideが企業価値1087億円で163億円を調達

Sideは不動産の個人販売員を独立ブランドへと変えようとする不動産テックのスタートアップだ。米国時間3月22日、シリーズDラウンドで1億5000万ドル(約163億円)を調達したことを発表した。

Coatue Managementがリードしたこの調達ラウンドで、サンフランシスコ拠点のSideの企業価値は10億ドル(約1087億円)となり、2017年の創業以来の総調達額は2億ドル(約217億円)になった。既存出資者のMatrix Partners、Trinity Ventures、およびSapphire Venturesも今回のラウンドに参加した。

このラウンドの調達金額は、2019年11月のシリーズCラウンドで調達した3500万ドル(約38億円)よりも著しく多いことは注目に値する。企業価値もシリーズCの1億5000万ドルと比べて7倍近くに増えた。Sapphire Venturesが当時のラウンドをリードし、元TruliaのCOO(同社のIPOとZillowによる数千億円の買収による)マネージングディレクターのPaul Levine(ポール・レヴィン)氏がSideの取締役に加わった。

スタートアップの2020年の売上は3000~5000万ドル(約33億〜54億円)で、2021年は倍増すると予想されている。2019年、Sideは同社の全パートナーを通じて年間50億ドル(約5436億円)の住宅販売を仲介した。現在、同社の不動産販売員コミュニティは、合わせて年間150億ドル(約1兆6037億円)を販売している。

Sideを設立したのはGuy Gal(ガイ・ギャ​​ル)氏、Edward Wu(エドワード・ウー)氏、Hilary Saunders(ヒラリー・サンダース)氏の3名で、伝統的不動産仲介モデルのためにほとんどの独立販売員は「十分な報酬と評価を得ていない」という想いが理由だった。

CEOのギャ​​ル氏は、現在の仲介業務は「平均的」不動販売員を意図した構造になっており、トップセールスの販売員は「大きな負担」を強いられている。

Sideのホワイトレーベルモデルは、もっぱら販売員やチームの独自ブランドを売り込み、バックエンドに必要な技術とサポートを提供する。パートナーが実績を「計画どおり伸ばし」、生産性を向上するのを支援することが目標だ。

「Sideのやっていることは、Shopifyがeコマースで何をやっているかを考えればわかります。【略】Sideと提携することで、成績優秀な不動産販売員やチームや独立仲介人は、史上初めて、ブローカー会社を設立することなく、独自ブランドと事業の権利をすべて得ることができます」とギャル氏はいう。「不動産販売員というこの特別のコミュニティの問題解決に何年も取り組んだことで、ソフトウェアを使ったこれまでになかったやり方で、彼らに膨大な効率をもたらすことができるようになったのです」。

既存の不動産業務の仕組みは、不動産販売員やチームがトップセールスを達成する意欲を削ぐように作られていると彼は指摘する。なぜなら、顧客の少ない販売員は取引のたびに高い手数料を払うことを余儀なくされるため、ブローカーと販売員との間に動機の不一致があるからだ。

「トップ販売員は売上を伸ばして差別化したいと考えますが、ブローカーは販売員が高い手数料で少ない仕事をして、自分のブランドの一員でいることを望んでいます」とギャル氏は言った。「Sideはトップセールスの販売員やチームとの競争意欲を削ぐのではなく、彼らが成長して自分の事業とブランドを拡大できるよう支援します」。

現在Sideは、カリフォルニア州、テキサス州、フロリダ州全体で1500人のパートナー不動産販売員を支援している。

同スタートアップは新たな資金を「大規模な雇用」と現在運用しているカリフォルニア、テキサス、フロリダの3州以外への進出に使う計画だ。現在300名以上いる従業員はさらに200人増やす予定。

カテゴリー:ソフトウェア
タグ:Side不動産資金調達

画像クレジット:Volanthevist / Getty Images (画像加工済み)

原文へ

(文:Mary Ann Azevedo、翻訳:Nob Takahashi / facebook

投稿者:

TechCrunch Japan

TechCrunchは2005年にシリコンバレーでスタートし、スタートアップ企業の紹介やインターネットの新しいプロダクトのレビュー、そして業界の重要なニュースを扱うテクノロジーメディアとして成長してきました。現在、米国を始め、欧州、アジア地域のテクノロジー業界の話題をカバーしています。そして、米国では2010年9月に世界的なオンラインメディア企業のAOLの傘下となりその運営が続けられています。 日本では2006年6月から翻訳版となるTechCrunch Japanが産声を上げてスタートしています。その後、日本でのオリジナル記事の投稿やイベントなどを開催しています。なお、TechCrunch Japanも2011年4月1日より米国と同様に米AOLの日本法人AOLオンライン・ジャパンにより運営されています。