不振のEVスタートアップLordstown MotorsからGMが撤退

General Motors(GM、ゼネラル・モーターズ)は、電気自動車のスタートアップ、Lordstown Motors(ローズタウン・モーターズ)の持ち株を売却した。同社は初の製品となる電動ピックアップトラック、Endurance(エンデュランス)の生産に向けて苦闘を続けている。Detroit Free Press(デトロイト・フリー・プレス)が伝えた。

GMが所有していた750万株の普通株式は、総株数の5%以下であり、当初の価値は7500万ドル(約87億円)だった。同社はこの持ち株を2021年第4四半期に、期間非公開の売却禁止期間経過後に売却した。

このニュースは、Lordstownが第4四半期決算で、損失が8120万ドル(約93億円)、1株当り0.42ドル(約49円)に拡大したことを公表した後にやってきた。米国時間2月28日の決算会見で同スタートアップは、Enduranceトラックの2023年までの生産、販売計画がわずか3000台で、うち500台を2022年中に販売する予定であることを発表した。それも、同社が追加資金を調達できた場合の話だ。同日Lordstownは、トラックを500台作るためにはさらに2億5000万ドル(約288億円)必要であることを投資家に伝えた。

追加の金の無心はそれだけでもよい兆候ではないが、さらに問題なのは更新されたガイダンスが、2020年10月のLordstownのSPACによる上場に向けて前経営陣が投資家に約束した3万2000台という数字よりはるかに少ないことだ。

LotdstownのGMとの関係は2018年にさかのぼり、当時GMは、同社のローズタウン工場を閉鎖するつもりであると言い、ドナルド・トランプ前大統領はそれに反対していた。その後GMは、工場を不振だったEV企業、Workhorse(ワークホース)に売却した(ちなみにこの会社も現在不調に悩まされており、Q4決算では1株当り1.13ドルの損失だった)。

Workhorseのファウンダーで前CEOのSteve Burns(スティーブ・バーンズ)氏は、この旧GM工場で電動トラックを作るべく、Lordstown Motorsを立ち上げ、GMは750万ドルを投資した。Lordstownはこの工場に約2億4000万ドル(約277億円)を投じたが、離陸させることはできなかった。

生産問題の最中に経営陣の重要人物を失うなど幾多のドラマを経た後、Lordstownは2023年を迎えるための現金が足りないことを打ち明け、2021年9月に同工場をiPhone製造のFoxconn(フォックスコン)に2億3000万ドル(約265億円)で売却した。しかしその契約はまだ完了しておらず、Lordstown経営陣は28日、売買契約が予定どおりには進捗していことを発表し、これまた間違いなく投資家を不快にさせる発表となった。

画像クレジット:MEGAN JELINGER / AFP / Getty Images

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(文:Rebecca Bellan、翻訳:Nob Takahashi / facebook

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TechCrunch Japan

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