不法侵入ドローンを即座に探知するDedroneが1000万ドルの資金を調達

2016-05-18-dedrone_image

一般ユーザー向けドローンはますます高性能化、低価格化中だ。こうした中、上空をモニターしてドローンの進入を即座に告げるシステムを開発しているスタートアップ、 Dedrone Inc.が1000万ドルのベンチャー資金を調達した。

シリーズAのラウンドをリードしたのはMenlo Venturesで、今回の資金調達によりDedroneの資本は総額1290万ドルとなった。

Dedroneの共同ファウンダー、CEOのJoerg Lamprechtによれば、同社のフラグシップモデル、DroneTrackerシステムには多様なセンサーが搭載され、監視対象地域の周囲の地上に設置される。招かれざる客であるか否かを問わず、上空に入ってきたドローンを探知する能力があるという。

ドイツで製造されたDroneTrackerにはカメラ及び音響、電波センサーが組み込まれ、ドローンの存在を探知するだけなく、種類も特定できるという。狭い地域の監視であれば、DroneTrackersは1、2基しか必要としない。スポーツやコンサートが開かれるスタジアムなどの大規模な施設になると10基以上が必要となる。

Dedroneはセンサーで収集したデータをいかなるサードパーティーにも販売しないが、上空周辺で記録されたドローンの活動を日報にまとめて利用者に知らせる。DedroneはこのシステムをBooz Allen HamiltonやBosch Security Systemsのような物理的警備を実施する能力のあるパートナーを通じて販売する計画だ。

Lamprechtは民間のドローンの多くは崇高な目的のために利用されているとして、 絶滅危惧種の保護遠隔地の病院への薬の配送、農業における水の節約支援などの例を挙げている。

しかしドローンの普及は同時にあやしげな目的での利用も増加させている。ドローンを使って麻薬を刑務所内に落とす、工場をスパイする、個人の家をのぞき見するなどの例が報告されている。またドローンの販売台数とともに事故件数も増えている。ホワイトハウスの芝生に墜落したり、カリフォルニア州で送電線に引っかかったドローンもある。

Lamprechtは「ドローンが有用であるためには、現在見られるような空の無政府状態を乗り越えねばならない」という

Dedroneはドローン・ユーザーのために上空でのドローンの稼働状況をモニターできる能力をDroneTrackerシステムに追加する計画だ。

Menlo Venturesのマネージング・ディレクターのVenky Ganesanは「われわれがDedroneを支援する理由は、ドローン関連の望ましくない問題が世界中で急増することは間違いないと考えるからだ」と述べた。

Dedrone cofounders and their DroneTracker hardware.

Dedroneの共同ファウンダー。左から右に、Ingo Seebach、Joerg Lamprecht、Rene Seber.

「ドローンの普及でセキュリティーに関する限り、地上に設置された塀は無意味になった。ドローンが侵入できないほど高いフェンスはありえない。 Dedroneはサイバーセキュリティーと物理的セキュリティーを同時に提供する」と共同ファウンダーのGanesanは述べた。

現在40人のフルタイム従業員をかかえるDedroneは、最近本社をドイツのKasselからサンフランシスコに移した。

DroneTrackerは現在すでにスタジアム、空港、データセンター、高級ホテル、セレブの自宅などの高価値施設の警備に用いられているという。しかしLamprecthは「セキュリティー上の理由からユーザーや利用箇所について具体的なことを明らかにすることはできない」と述べた。同社は例外としてメッツ球団の本拠であるニューヨークのシティ・フィールド・スタジアムの警備にDedroneシステムが利用されていることを挙げた。

民間ドローンの安全性を高めるためのスタートアップがベンチャーキャピタルの支援を受けた例としてDedroneは最新のものとなる。この種の他の例としてはPrecisionHawkAirMapDroneDeployなどがある。

Internet Security SystemsのCEO、Tom NoonanとTarget PartnersがDedroneのエンジェル投資家に含まれている。

[原文へ]

(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

投稿者:

TechCrunch Japan

TechCrunchは2005年にシリコンバレーでスタートし、スタートアップ企業の紹介やインターネットの新しいプロダクトのレビュー、そして業界の重要なニュースを扱うテクノロジーメディアとして成長してきました。現在、米国を始め、欧州、アジア地域のテクノロジー業界の話題をカバーしています。そして、米国では2010年9月に世界的なオンラインメディア企業のAOLの傘下となりその運営が続けられています。 日本では2006年6月から翻訳版となるTechCrunch Japanが産声を上げてスタートしています。その後、日本でのオリジナル記事の投稿やイベントなどを開催しています。なお、TechCrunch Japanも2011年4月1日より米国と同様に米AOLの日本法人AOLオンライン・ジャパンにより運営されています。