世界中からの移民の人たちが金融サービスを利用できるよう支援するZolveが約45.5億調達

米国の移民が金融サービスを利用できるようにすることを目的としたネオバンキングのスタートアップ企業であるZolve(ゾルブ)は、サービスの展開を開始するにあたり、新たな資金調達ラウンドで4000万ドル(約45億5000万円)を調達したことを米国時間10月27日に発表した。

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DST Global(DSTグローバル)のパートナーが、ベンガルールに本社を置くこのスタートアップのシリーズA資金調達ラウンドを主導した。今回のラウンドでは、Tiger Global(タイガー・グローバル)、Alkeon Capital(アルケオン・キャピタル)、Lightspeed Venture Partners(ライトスピード・ベンチャー・パートナーズ)、Accel(アクセル)といった既存の投資家に加え、設立10カ月の同社を2億1000万ドル(約238億9600万円)と評価し、過去最高の5500万ドル(約62億5800万円)を調達した。


毎年、何万人もの学生や社会人が、高等教育を受けるため、あるいは仕事のために、インドから米国へと旅立っている。新しい国で数カ月過ごした後でも、現地の銀行からクレジットカードを発行してもらうのに苦労したり、その他のさまざまな金融サービスを利用するために割高な料金を支払わなければならなかったりする。

インドで注目されている起業家で、前職のスタートアップをライドハイリングの大手Ola(オラ)に売却したRaghunandan G(ラグナンダン・G)氏は、2021年の初めにインド人のためにこの問題を解決しようと決心した。

Zolveは2021年9月、2000人の顧客(それと、7万人を超えるウェイティングリストがある)にクレジットカードを提供したが、すぐに2つの気づきがあったとTechCrunchのインタビューで述べている。

それは、顧客がZolveのサービスを幅広く利用し、期限内に支払いを済ませているだけでなく、オーストラリア、英国、カナダ、ドイツなど他国から移住してきた人々の需要も有機的に取り込んでいたことだという。

「私たちの基本的な価値提案は、クレジットカードです。クレジットカードの他に、現地の銀行口座とデビットカードがあります。私たちは、お客様が自分の銀行口座にお金を預けることを想定していませんでした。入金されるとしても、数百ドル(数万円)、数千ドル(数十万円)程度だろうと考えていました。しかし、実際には何万ドル(数百万円)ものお金を預けて、この口座をメインの銀行口座として使っている人がいるのです。現在、私たちは200万ドル(約2億2000万円)の預金があります」と同氏は語ってくれた。

Zolveは、このような初期段階での人気を受けて、2022年早々には複数の国からの移民の人たちにサービスを拡大する予定だ。

Zolveは現在、米国とインドの銀行と提携し、保険料や保証金を支払うことなく、消費者がシームレスに金融商品を利用できるようにしている。Zolveがリスクを引き受けることで、海外の銀行がZolveの顧客にサービスを提供できるようになった。

Zolveは、インドの銀行と協力することで、個人を明確にし、保険責務を請け負うことができた。Zolveは現在、このモデルを他の国の顧客にも適用することを計画している。

ラグナンダン氏によると、Zolveは幸運にも希望する投資家を見つけ、参加してもらうができたという。DST Globalのパートナーの多くは移民であり、新たに加わった3人の投資家も、同じような分野で活動するいくつかのスタートアップ企業を支援してきたことを教えてくれた。

「お客様のニーズに合った公正な金融商品へのアクセスは、人々の生活に直接的かつ意味のある影響を与えます。Zolveに投資し、米国やその他の市場で世界水準の金融サービス商品や体験を移民の人たちに提供するというラグナンダン氏のビジョンを支援できることを大変うれしく思います」。と、LightspeedのパートナーであるBejul Somaia(ベジュール・ソマイア)氏は語っている。

「Zolveは、特に顧客の獲得と利用において急速に成長していますが、これはチームの実行力とZolveがターゲットとする顧客層の大きなニーズを反映したものです。今後の展開に期待するとともに、Zolveの将来の成功を確信しています」と述べている。

また、Zolveは積極的にチームを拡大する予定であると述べている。同社の従業員数は、2021年の初めにはわずか5名だった。その後、100人に増え、現在はいくつかの役割を担う150人の採用を検討している。

画像クレジット:Getty Images

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(文:Manish Singh、翻訳:Akihito Mizukoshi)

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TechCrunch Japan

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