世界的に成長中のVCマーケット、主に中国が貢献

ベンチャーキャピタルのビジネスモデルが世界中でみられるようになった。まだ金融業界の特別クラブ的なものではあるが、今やワールドワイドに、そしてそれなりの規模で展開されている。

Crunchbaseニュースが2018年第3四半期に報じたCrunchbase推定によると、世界のVCディールと投資額はそれぞれ空前の記録となった。米国とカナダにおいて、ディールの件数は第2四半期よりわずかに減少したが、膨張しているディールのサイズが総投資額を過去最高へと押し上げた。

このVCマーケットの世界的な成長の大部分は、米国とカナダ以外のマーケットによるものだ。Startup Revolutionと米国起業家精神センターがコラボで行なった最近の研究では、中国・北京が世界のVC投資成長に最も貢献していることがわかった。

地域別を表示したディール件数を下に示している。世界のディール件数が一貫して成長傾向にあるのに比べ、米国とカナダのディール件数の成長パターンはやや途切れ途切れになっていることに気づく。(Crunchbaseがいかに、そしてなぜこのような予測を作成するのかについては、グローバルレポートの末尾にあるMethodologyセクションを参照してほしい)。

中国のような急激に成長しているスタートアップマーケットでは、ベンチャーディールの金額こそわずかに減っているものの(*注記1)、件数は過去最高となっている。アジア太平洋地域全体では、ベンチャーディール件数は昨年同時期に比べ約85%も増えている。レポートされた中国の件数は、4倍以上となっている。

中国のベンチャーマーケットの拡大は、世界都市別の予測でより鮮明だろう。下記に、第3四半期でスタートアップが最もアクティブだったトップ10の都市を示すチャートがある。(グローバルレポートのMethodologyセクションで“レポートされた”データとは何か、どのように使用されたかについての説明がある)。

チャートにある10都市は、3カ国で占められている、ベイエリアの件数を押し上げているシリコンバレーがなければ、北京が生の件数的にはサンフランシスコよりも上にきていたはずだ。(しかし、北京の人口はベイエリア全体の3倍にもなる)。

ディールの件数と金額を活発度合いのバロメーターとすれば(健全度ではない)、VCの動きの広まりはマーケット全体にとってよいことととらえることができるかもしれない。グローバルでのVCの動きの高まりは、世界的に全てのスタートアップマーケットを押し上げるている。しかしながら、そうした成長のほとんどは、いくつかの大きなマーケットに集中している。

シリコンバレーのベンチャーキャピタル投資モデルの世界的な拡大、そして当地での再解釈は、スタートアップ創業者が頭に入れておかなければならない現象となっている。創業者はこれまでになく大規模なラウンドで多くの資金を調達していて、投資家が成長マーケットの多くを買うのにさらに大金を投入することを期待している。同様に、投資家はそうした企業の飽くなきキャピタル欲を満たそうと、これまでにない規模の資金を調達している。

大きなトレンドの中で、変化著しいマーケットの状態に適応できない創業者はマーケットサイクルの終わりに消えていくことになる。

*注記1:金額が減ったのは、第2四半期の金額がAnt Financialによる140億ドルものシリーズCラウンドで大きくなったためだ。これは、これまでのところ最も大きなVCラウンドとなっている。

イメージクレジット: Li-Anne Dias

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(翻訳:Mizoguchi)

投稿者:

TechCrunch Japan

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