中国の配車サービスDidiが新型コロナワクチン接種支援で10.4億円の基金を設立

世界中の国が新型コロナウイルス対策としてワクチン接種を準備している中、テック企業は率先して死に至ることのあるウイルスとの戦いをサポートしようとしている。中国の配車サービス最大手Didi Chuxing(滴滴出行)は米国時間1月22日、中国外の13のマーケットでの新型コロナワクチン接種の取り組みを支える1000万ドル(約10億4000万円)の基金設立を約束した。

この多目的基金は乗客がワクチン接種場所に行くのにかかる料金と、ヘルスケア分野で働く人たちがワクチン接種会場に移動するのにかかる料金を減額するのに使われる。また、各国政府と引き続き協業し、サービスを展開する現地のニーズに基づいた今後の対策も支援すると述べた。

同社がどのように資金を十数のマーケットに配分するかはまだ明らかではない。同社が事業を展開しているマーケットはブラジル、メキシコ、チリ、コロンビア、コスタリカ、パナマ、ペルー、ドミニカ共和国、アルゼンチン、オーストラリア、日本、ロシア、ニュージーランドだ。

「ワクチン接種の開始と各マーケットでのサポート計画が確定し次第、さらなる詳細を明らかにします」と広報担当は述べている。

他のテック企業同様、Didiは救済措置を提供することで新型コロナ流行にすばやく対応した。これまでに医療最前線のヘルスケアワーカーに600万回超の無料または割引乗車と食事を、そして600万超のマスクと消毒キットを中国外マーケットのドライバーや提携配達人に提供した、と述べた。

中国内でもDidiは同様の取り組みを展開してきた。ここには感染が確認されたり隔離されたりしたドライバー向けの保険といった財政的援助も含まれる。

「ワクチン接種サポートイニシアチブは、世界中の回復に向けた取り組みにおいて重要なステップです」と同社の会長Jean Liu(ジアン・リュー)氏は述べた。

「複雑なモビリティシナリオ向けに構築された安全システムとともに、驚くほどのコミットメントとDidiチームの臨機応変さは、この困難な時期における人々の保護と必要不可欠なサービスの確保において重要な役割を担います。当社は都市が再び前に進むよう、引き続きパートナーやコミュニティに寄り添います」。

乗客やドライバーの安全を確保するために、同社は2020年に中国や他のマーケットで車内カメラを使ったマスク検知テクノロジーを取り入れた。

ソフトバンクが支援するDidiは、2018年に起きた2件の乗客殺害事件を受けて人気かつ儲けの多い相乗りサービスを一時停止したときに打撃を受けた。同社は中国で最も価値の大きな非上場のテック企業の1社で、IPOを計画しているという噂が何年もある。

Didiはアジア太平洋、南米、ロシアでタクシー配車、プライベートカー配車、ライドシェア、バス、自転車、電動自転車などを提供し、ユーザー数は計5億5000万人だ。最近では年間に100億回超の乗車に対応している。中国外ではユーザー2000万人超、それから280万人のドライバーと配達人を抱えている。

同社にはソフトバンクの支援を受けた新しい自動運転部門もあり、積極的に自動運転車両の開発とテストを進めている中国の新興AI企業群の1社だ。また、中国の電気自動車(EV)メーカー大手BYDと共同で配車サービス向けモデルのデザインも行っている。

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カテゴリー:モビリティ
タグ:Didi新型コロナウイルスワクチン

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(翻訳:Mizoguchi

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TechCrunch Japan

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