中国のPony.aiが2022年にカリフォルニアでのドライバーレスロボタクシー運用を計画

中国と米国で運用しているロボタクシーのスタートアップ、Pony.ai(ポニー・エー・アイ)は、2022年に計画している商用サービスに先立ち、カリフォルニア州の公道でドライバーレス車のテストを開始した。

ドライバーレス車両によるテストは、運転席にセーフティードライバー(安全管理者)がいない無人自動車が走ることを意味しており、カリフォルニア州フリーモントの公道で毎日行われている、と同社は語った。Pony.aiは中国の広州でもドライバーレス車のテストを行っている。

また同社は、2021年の夏にカリフォルニア州アーバインで、セーフティードライバーの乗った無人車を使ったライドシェアサービスを再開する計画であることも話した。目標は、2022年に完全ドライバーレス・サービスを展開することだ。

「完全ドライバーレス化は完全自律運用への鍵であり、私たちの野心的計画にとって不可欠な起爆剤です」とPony.aiのCEOで共同ファウンダーのJames Peng(ジェームズ・ペン)氏はいう。

Pony.aicが商用サービスを運用するためには規制のハードールがいくつか残っている。ドライバーレス乗車サービスを有料で提供しようとする無人運転車企業は、カリフォルニア州運輸局(DMV)とカリフォルニア州公益事業委員会(CPUC)の両方から運用許可を受ける必要がある。GM傘下のCruise(クルーズ)は、CPUCから乗客輸送テストが可能なドライバーレス自動運転サービス許可を受けた最初の企業となった。DMVの最後の一歩は運用開始許可で、これまでにNuro(ニューロ)のみが取得している。

Ponyのカリフォルニア州でのドライバーレス・テストのマイルストーンは、州がPonyの6台のドライバーレス車両によるテストを約39平方マイル(101平方km)の地域で行う許可を出してから1カ月後だった。何十という会社(計55社)がセーフティードライバー付き自動運転車のテスト許可を取得しているが、ドライバーレス車両の許可受けるのは稀だ。Ponyは同州でドライバーレス・テスト許可を受けた8番目の会社で、取得企業には中国のAutoX(オートエックス)、Baidu(バイドゥー)、およびWeRide(ウィーライド)、米国のCruise、Nuro、Waymo(ウェイモ)、Zoox(ズークス)らがいる。商業的運用が可能な deployment permit(運用開始許可)を受けているのはNuroだけだ。

関連記事:GMの自動運転車子会社Cruiseがカリフォルニア州で無人運転車に客を乗せることが可能に

Pony.aiは、2016年にBaiduの開発者だったペン氏とLou Tiancheng(ルー・チャンチェン)氏が設立し、2017年にセーフティードライバー付き無人運転車のテスト許可を取得した。5月にカリフォルニア州DMVが発行したドライバーレス許可は、Ponyの州内における活動実績を踏まえて拡張された。

Pony.aiはカリフォルニア州のフリーモントとアーバインでライドシェアのテストを行ってきた。2019年、電動無人運転のクロスオーバー車、Hyundai Kona(ヒュンダイ・コナ)にPonyの自動運転システムとVia(ヴィア)のライドシェアリング・プラットフォームを搭載し、公道で乗客輸送を開始した。BotRide(ボットライド)と呼ばれるそのロボタクシー・サービスはドライバーレスではなく、運転席には常時人間セーフティードライバーが乗っていた。BotRideのパイロットは2020年1月に終了した。

その後同社は公開ロボタクシー・サービスのPonyPilotをアーバイン地区で運用開始した。その後、新型コロナウイルス(COVID-19)パンデミックのために、乗客輸送から貨物輸送に切り替えた。Pony.aiはeコマースプラットフォームのYamibuy(ヤミバイ)とも提携して、アーバインの顧客に無人ラストマイル配送サービスを提供した。その配送サービスは新型コロナパンデミックによって急増した注文に対応するための能力増強のために実施した、と当時Pony.aiは述べていた。

パンデミックが沈静化してカリフォルニア州に平常状態が戻るのに備え、Ponyは商業的ロボタクシーサービス運用の準備を進めている。その目標を達成するために、同社はすでに何社ものパートナーを集め、トヨタ自動車からの4億ドル(約440億円)を含む10億ドル(約1100億円)以上の資金を調達している。2020年11月、新たな2億6700万ドル(約290億円)の資金調達を完了した同社の企業価値は53億ドル(約5840億円)に達した。Ponyは、Bosch(ボッシュ)、Hyundai、トヨタをはじめとする自動車メーカー、部品メーカーとの提携、協業をいくつか行っている。

関連記事
GMの自動運転車子会社Cruiseがカリフォルニア州で無人運転車に客を乗せることが可能に
カリフォルニア州知事がEV関連に約3500億円拠出する経済復興策を発表

カテゴリー:モビリティ
タグ:Pony.aiロボタクシーカリフォルニア自動運転

画像クレジット:Screenshot/Pony.ai

原文へ

(文:Kirsten Korosec、翻訳:Nob Takahashi / facebook

投稿者:

TechCrunch Japan

TechCrunchは2005年にシリコンバレーでスタートし、スタートアップ企業の紹介やインターネットの新しいプロダクトのレビュー、そして業界の重要なニュースを扱うテクノロジーメディアとして成長してきました。現在、米国を始め、欧州、アジア地域のテクノロジー業界の話題をカバーしています。そして、米国では2010年9月に世界的なオンラインメディア企業のAOLの傘下となりその運営が続けられています。 日本では2006年6月から翻訳版となるTechCrunch Japanが産声を上げてスタートしています。その後、日本でのオリジナル記事の投稿やイベントなどを開催しています。なお、TechCrunch Japanも2011年4月1日より米国と同様に米AOLの日本法人AOLオンライン・ジャパンにより運営されています。