中国当局がジャック・マー氏のAnt Groupに決済における「反競争的な行為の是正」を要請

Ant(アント)の事業見直しの詳細が明らかにされた。中国人民銀行(中央銀行)が中国時間4月12日に発表したところによると、Jack Ma(ジャック・マー)氏が率いるAlibaba(アリババ)傘下のフィンテック企業Ant Group(アント・グループ)は、金融持株会社となり、融資や利益創出の方法について規制当局の監視がより強化されることになるという。

Antは、Alibabaマーケットプレイスのオンライン決済処理会社としてスタートし、その後、決済、融資、ウェルスマネジメント、保険などの事業を展開するフィンテック帝国へと発展した。既存の金融業界への参入は中国ではあまり歓迎されていなかったが、数年前から大手銀行や従来の資産運用会社と競合するのではなく「テクノロジープロバイダー」として位置づけられるようになった。

そうした努力にもかかわらず、中国政府はフィンテックの巨人となったAntをさらに抑制したいと考えていた。

当局が同国のインターネット大手の力を抑制しようとする中、Antが2020年11月に予定していたIPOは頓挫していた。政府がAntに課した「是正計画」と呼ぶものの一環として、同社は「反競争的な行為を是正する」とあるが、これには、消費者に提供する決済手段の選択肢の拡大、ユーザーを誘導してローンを組ませるというような悪質な手法を排除することが含まれる。

また、世界中に10億人以上の年間ユーザーを擁し、そのほとんどが中国にいるAntは、ユーザーデータの独占をやめ、個人情報と国家情報の安全を確保するよう求められている。

さらに金融持株会社としてAntは、金融商品の流動性リスクをコントロールし、世界最大級のマネーマーケットファンドの規模を縮小する必要がある。

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カテゴリー:フィンテック
タグ:Ant Groupジャック・マー中国Alibaba

画像クレジット:Gao Yuwen/VCG via Getty Images

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(文:Rita Liao、翻訳:Aya Nakazato)

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TechCrunch Japan

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