中国自動車メーカーGeelyがTeslaら対抗でラグジュアリーなEVブランド「Zeekr」を立ち上げ

中国の自動車メーカーであるGeely Automobile Holdings(吉利汽車集団)はTesla(テスラ)や他の中国企業によって独占されてきたラグジュアリーな電気自動車(EV)マーケットのシェアを獲得しようと、プレミアムなEVの新ブランドを立ち上げる。

「Zeekr」という新ブランドの車両は親会社のZhejiang Geely Holding Group(浙江吉利控股集団)によって生産される。2021年第3四半期に出荷が始まる見込みだ。

最初にロイターが報じ、そしてGeelyが現地時間3月23日に認めたZeekrの立上げは、同社が中国でTeslaと勝負しようとしていることを示している。Teslaは中国で成功を収めており、直近の四半期決算によると2019年に29億ドル(約3150億円)だった中国での売上高は2020年に倍以上に増え、66億ドル(約7170億円)だった。しかし世界最大のEVマーケットである中国での競争相手はTeslaだけではない。

Zeekrはラグジュアリーなクルマを展開している中国のスタートアップであるLi AutoやNIOと争わなければならない。Geelyは2020年に販売台数が最も多かった中国ブランドで、4四半期連続で首位を維持したが、3月23日に公開された決算発表では2020年の純利益は32%減少した。

Zeekrブランドの車両はオープンソースのEVテクノロジーSustainable Experience Architecture(SEA)を使ってGeely Holdingが製造する。SEAでの航続距離は435マイル(約700km)でスマートコネクティビティオプションも提供すると同社は述べた。Geelyはこのアーキテクチャを傘下の9つのブランドで展開し、他のメーカーに販売する計画を持っている(GeelyはDaimler AGの少数株主であり、Volvo Carsの親会社だ)。

Geely Holdingの創業者Eric Li(エリック・リ)氏は、他の自動車メーカーがこのアーキテクチャーにアクセスできるようにするつもりだ、と声明で述べた。

SEAプラットフォームは、自らをEV生産とテクノロジーの主要ソースと位置づけるGeelyの計画の1つのピースにすぎない。GeelyとVolvo Carsは2021年2月、合併する計画を打ち切ったが、その代わり全ブランドや他のメーカーのEV向けの次世代のハードウェアとソフトウェアを開発する独立した会社を立ち上げると発表した。2社は新たなコラボの下でバッテリーと電動モーターを共同で調達する。

Geely Holdingはまた他メーカーのための生産でも大きな役割を引き受ける準備をしている。Apple(アップル)のメインサプライヤーである中国企業Foxconn Technology Group(フォックスコン・テクノロジー・グループ)と合弁会社を立ち上げる計画は、自動車メーカーの委託生産を狙っている。中国のテック大手Baidu(百度)とEVを製造するための別の会社で提携し、ここでもSEAプラットフォームを活用するとGeelyは述べた。Baiduは自動運転などインテリジェントな運転テクノロジーを開発していて、これは新会社に貢献することになるかもしれないと話した。

ZeekrはGeelyとGeely Holdingが共同所有し、持株比率はGeelyが51%、Geely Holdingが49%で、共同で20億元(約333億円)投資する。

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カテゴリー:モビリティ
タグ:Geely電気自動車Zeekr中国

画像クレジット:GREG BAKER/AFP/Getty Images / Getty Images

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(文:Aria Alamalhodaei、翻訳:Nariko Mizoguchi

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TechCrunch Japan

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