中国Digi、乗客殺害事件を受けての安全策をさらに追加

女性乗客がドライバーに暴行・殺害されてから1カ月、中国最大のライドシェア事業者Didi Chuxing(滴滴出行)は新たなセキュリティシステムを展開する。この事件は同社のサービスHitchで起こった今年2件目の殺人事件だ。

今日Digiはいくつかの新たな安全機能を導入したと発表した。そこには、ドライバー向けの抜き打ちの生体IDテスト(自撮りを使った毎日のログインに加えて)と、警察に直接連絡がいくDigiアプリ内のSOSボタン導入が含まれる。Digiによると、SOS機能は“急を要する対応のプロセスを効率化する”ためのものだーこれには“特別な警察チーム”がDigiサービスでの問題に対処する。また、ドライバーのための疲労警告の機能もある。

今月初め、Digiはガイドラインとヘルプを盛り込んだセーフティーセンター機能を追加し、急ぎの要請がカスタマーサポートセンターにいくのではなく警察に直接いくよう乗客のアプリ内のSOSボタンをアップデートした。またDigiはExpressとPremierサービスで乗車中の音声録音機能を試験導入した。

これより先に、DigiのCEOと理事長は事業の成長よりユーザーの安全を優先すると述べていた。

どちらの殺人事件でもDigiのシステムに過失があったとして、Digiはかなりの批判を浴びていた。最初の殺人事件では、殺人を犯したドライバーはDigiのドライバー証明システムを飛び越えていて(父親のアカウントを使って)、しかもこの事件の前にこのアカウントに対してあったセクハラの届けはフォローアップされていなかった。

2つめの殺人事件ではさらに問題が露呈した。そのドライバーについては、女性乗客がドライバーに前の座席に座るように言われ、また降車後にしばらくつきまとわれたことからDigiに苦情を入れ、事件前日にはそのドライバーはDigiの安全チーム内で要注意となっていた。なのに、苦情を受けた安全センターのスタッフは2時間以内に調査を開始するという社のポリシーを実行しなかった。

Digiは2回目の殺人事件を受け、幹部2人をクビにしたーHitchの統括マネジャーとカスタマーサービス担当副社長だーそして今年2回目となるHitchサービスを一時停止する措置をとった。

中国は先月、ライドシェアに関する新たな規則を設けた。この規則では地方自治体に乗客安全委員会を設けること、事件を速やかに調査することを課している。

先週、香港でIPOを行い40億ドルを調達したDigiのライバル、Meituanは今年初めに配車サービス事業に参入した。MeituanはDigiとの競争に闘志を燃やしているが、おそらく現在の困難な状況を感じ取ってだろう、南京と上海以外のエリアに事業を拡大する計画を見合わせている。

Digiは2年前にUberの中国事業を買収して以来、強力な競争相手がいない状態だった。

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(翻訳:Mizoguchi)

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TechCrunch Japan

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