中小企業の従業員にもパーソナライズされた福利厚生を届けるBenが約2.6億円調達

ロンドンを拠点とする従業員向け福利厚生・リワードプラットフォーム「Ben」が、250万ドル(約2億6000万円)の資金調達を行った。今回のシードラウンドは、Cherry VenturesとSeedcampが主導した。

また、フィンテックやHRテックのバックグラウンドを持つエンジェル投資家も多数参加している。Paul Forster氏(Indeedの創業者)、Taavet Hinrikus氏(TransferWiseの創業者)、Carlos Gonzalez-Cadenas氏(以前はGoCardlessの幹部だったが、現在はIndex Venturesのパートナー)、Philip Reynolds氏(Workdayのエンジニアリング担当副社長)、Matt Robinson氏(Nestedの創業者)などだ。

その半分はフィンテック、半分はHRの役割を果たすBenは、中小企業が従業員によりパーソナライズされた柔軟な福利厚生を提供できるようにするための福利厚生プラットフォームを構築した。同社は、福利厚生マーケットプレイスを含む福利厚生管理のためのSaaSと、Mastercardを利用した従業員ごとのデビットカードを組み合わせてこれを実現している。

このアイデアは、従業員がどの福利厚生を選択するかについて、より個人的な選択ができるようにすると同時に、追加のプロバイダーを簡単に導入できるようにすることを目的としている。プロバイダーの導入は、マーケットプレイスを介して、または雇用主が発行したマスターカードを介して加盟店や業者カテゴリーをホワイトリストに登録することで可能になる。

「ほとんどの企業が、チームメンバーを惹きつけ、エンゲージメントを高め、最終的には生産性を向上させるために福利厚生を提供していますが、大部分のソリューションは期待通りの成果をもたらしていません」と、Benの共同創業者兼CEOであるSebastian Fallert(セバスチャン・ファラート)氏は語る。「インパクトを与えるためには、提供される内容は個々の従業員にとって役立つものである必要があります。つまり、何かが40代半ばの在宅勤務者には有益な『ベネフィット』であっても、20代の新入社員にはほとんど役に立たないかもしれないということです」。

ファラート氏によると、ほとんどの中小企業にとって、必要なレベルの個人別ベネフィットを提供することは、パーソナライズされたプログラムの作成と管理に「高いコストと複雑さ」があるため、従来不可能であったという。そのため、従業員が様々な選択肢から選択できる柔軟な福利厚生プログラムを提供できるのは大企業に限られていた。Benはこの問題を解決することを目指しているという。

「Benのソフトウェア・プラットフォームを利用することで、企業は資金を投入し、その使用方法について個別の支出ルールを設定することができます」とファラート氏は説明する。「従業員は、民間の医療保険、メンタルヘルスサービス、デンタルプランなどのグループベネフィットから選択することができますが、さらに従業員ごとの実際のマスターカードは、幅広い商品やサービスの利用を可能にしつつも、節税効果が高くコンプライアンスに準拠した方法です」。

その結果、「ウィンウィン」が実現する、と同氏はいう。「従業員はカスタマイズされた福利厚生を得られ、企業は使用された分だけを支払い、管理を合理化しながら免税や優先的な価格設定を利用することができます」。

Benのプラットフォームは現在、中小企業、特にチームが分散している企業で利用されている。「特にこれらの企業では、より多様化し、遠隔勤務や分散化が進む従業員に対応するために、プログラムの複雑化に対応しなければなりません」とファラート氏は語る。

一方、Benには3つの収益源がある。SaaS料金、カードが使用されるたびに発生するインターチェンジ収入、そしてもちろん、マーケットプレイスからのアフィリエイト収入だ。

ファラート氏は次のように付け加えた。「当社サービスのコアとなる仮説の1つは、借金整理や不妊治療など、多くの場合すべての従業員には関係がないことでも、企業には浸透していない素晴らしいサービスがたくさんあるということです。Benを使うことで、これらのサービスは標準的な商業条件で簡単に配布され、企業は追加支出なしにより多くのベネフィットを提供することができます」。

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カテゴリー:HRテック
タグ:資金調達

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(文:Steve O’Hear、翻訳:Nakazato)

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TechCrunch Japan

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