予約台帳の「トレタ」が「Yahoo!予約 飲食店」と連携、飲食店のウェブ予約の手間を大幅に軽減

トレタが運営する飲食店向け予約台帳サービス「トレタ」とヤフーのグルメ予約サービス「Yahoo!予約 飲食店」がサービス連携する。これにあわせて、トレタを導入する「俺のフレンチ・イタリアン AOYAMA」「Eggs’n Things(リンクは原宿店)」など7法人18店舗がYahoo!予約 飲食店で予約可能になった。サービス連携は、両社いずれかのサービスを利用していれば、手続き次第すぐに可能だ。なおトレタの月額基本料金は1万2000円。今回の連携を記念した3カ月無料のキャンペーンも実施する。

両社が4月15日に開催した説明会で、ヤフー ショッピングカンパニー予約事業本部本部長の江崎命氏は、Yahoo! JAPANの端末別ユニークユーザーが昨年スマートフォンがその他(PCやタブレット)の端末を超えたと説明。さらにYahoo!検索において「スマートフォンのみで利用」「スマートフォンとPCで利用」「PCのみで利用」のユーザーを比較したところ、2012年から2014年でスマートフォンのみで利用が7倍、スマートフォンとPCで利用が3倍に増加した一方、PCのみで利用が半分になったとした。

つまりはスマートフォンでの利用が中心となったYahoo!。検索クエリをカテゴリごとに見ていくと、飲食店を検索するケースが増加しているそうだ(カテゴリ別で15位)。

江崎氏いわく、検索されるのは「焼き肉」「カレー」といった飲食のカテゴリではなく、具体的な店舗名だそう。「『お店自体は知っていて、電話番号を調べて予約したい』といったニーズがあるのではないかという仮説を持っている」(江崎氏)という。

ヤフーでは「eコマース革命」と銘打って、2013年10月にYahoo! ショッピングの出店料無料化を実施している。それと同じタイミングでスタートしたYahoo!予約 飲食店でも初期費用や月額利用料、成約手数料を無料化している。2014年第4四半期時点で予約サービスには1万3500店舗が登録している。

繁盛店がネット予約に対応しない理由

ところで、ネット予約をすでに提供しているヤフーがスタートアップのトレタと組む理由は何なのだろうか。

江崎氏は「業務中にPCやスマホ見れない」「ネットの予約を紙の台帳に転記するのが手間である」「電話とネットの予約で二重の在庫管理が必要になる」という3点を挙げる。仕事中は忙しくて空席の在庫管理なんかやっていられないという飲食店が多いのだそうだ。

この状況についてトレタ代表取締役の中村仁氏は次のような図を元に説明する。

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まず“ネット以前”の話。このときはユーザーが飲食店に電話をして、飲食店が紙の予約台帳で予約を管理していた。だがウェブでグルメ系メディアの登場によって、電話でのオペレーションと並行してウェブでの予約に対応する必要が出てきた。

紙の台帳で管理をしている場合、たとえウェブで予約を受けても最終的に紙の台帳に転記する必要がある。そうなると、(多くのサービスではメールなどで予約に関するアラートが飛ぶものの)最終的には迅速なウェブのチェックが必要になるし、電話とウェブでの予約が重なってオーバーブッキングなどの事故につながりかねない。満席になればウェブの予約だって迅速に受付を停止しないといけない。

「1件の予約だけでこれまでの作業が必要だった。(ウェブでの予約は)飲食店にとって負担が増えてしまう仕組み。そのため予約したいような繁盛店はウェブ予約に対応しないし、ネットで予約はできないが電話をすると予約が取れてしまう、ということが起こっていた」(中村氏)

そんな飲食店の課題を解決するのがトレタの予約台帳サービスだ。このサービスはクラウドでデータを管理しており、空席在庫の情報を予約システムとリアルタイムに連携できる(すでにトレタはこれを「トレタかんたんウェブ予約」としてリリースしている)。今回Yahoo!予約 飲食店と連携することで、Yahoo!の膨大なトラフィックの恩恵を受けつつ、店舗は予約事故のないウェブ予約を実現できる。紙の予約台帳では決して実現できなかった世界だ。

ヤフーによる買収の可能性は「小澤さんに聞いて下さい」

両社は今後さらなる連携を進める予定だという。ところで今回の提携をきっかけにヤフーがトレタを買収するような可能性はあるのだろうか。

2人に尋ねたところ「トレタとヤフーはさまざまな媒体と提携していくことでは合意している。我々としてもトレタ以外と提携する可能性はある」(江崎氏)「小澤さん(ヤフー 執行役員 ショッピングカンパニー長でYJキャピタル取締役の小澤隆生氏)に聞いて下さい(笑)」(中村)とのことだった。

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TechCrunch Japan

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