予約台帳のトレタがアイスタイル、伊藤忠、DDHから3億円を調達——アジア進出も本格化

トレタ代表取締役の中村仁氏

トレタ代表取締役の中村仁氏

予約・顧客台帳サービス「トレタ」の開発・運営を行うトレタは2月29日、アイスタイル、伊藤忠商事電通デジタル・ホールディングス(電通デジタル投資事業有限責任組合)の3社を引受先とした総額第三者割当増資を実施したことを明らかにした。トレタでは2015年12月にセールスフォース・ドットコムからも資金を調達しているが、同一ラウンドでの調達となる。また、今回の調達にともなってキャンバス取締役の加登住眞氏が非常勤監査役として同社に参画する。

トレタは2016年2月現在で登録店舗数で4900以上、最新の数字はまもなく5000店舗を達成するという。トレタ代表取締役の中村仁氏は「思った以上のペース」と語る。サービス利用継続率は99.5%、MAUは登録店舗の95%。累計の予約件数は665万件・3400万人に上るという。

toreta

今回の調達はCVCであるDDHを除いて事業会社。資金ニーズもさることながら、各社との業務提携により、海外展開なども進めていく。アイスタイルとの展開についてはまだ話をできる段階にはないということだったが、伊藤忠商事については、同社の関連会社であるベルシステム24と組んで、飲食店の予約業務代行での協業を計画しているほか、台湾最大手の電気通信事業者である中華電信股份有限公司との営業提携を検討中だという。

「少子高齢化で日本の人口が減っていくということは、『胃袋』も『食べる量』も減ることになる。国内だけで見れば、外食産業は横ばいで決して成長する産業ではない。ただもちろんそこには変化は起きていて、(台帳)ツールは広がっている」——中村氏は国内の市場についてこう語る。またそんな状況だからこそ、「海外を見ないといけない」と語る。

海外と言っても、米国ではOpenTableが台帳・メディアとしても強いサービスに成長している。だがアジアを見てみれば、外食産業自体がまさに成長中。そこで今後は国内に次いで台湾やASEANを中心にサービスを展開していくという。「外食産業は日本からアジアのタイムマシン経営ができる。日本の外食産業のノウハウは価値があるもの。今まで(米国からタイムマシン経営のメリットを享受すること)とは逆の立場で取り切っていく」(中村氏)

また新たに監査役を加えるということでいよいよIPOの準備か、とも思ったのだが、中村氏は「もともと早く(IPOすることを)考えているわけではない。IPOするとして、大事なのは資金よりも信用だ。信用を持って永遠にサービスを続けていくという意志を保証する意味で重要。営業にもダイレクトに響いてくる。だが上場が目的になることで会社のあり方がゆがむのであれば意味がない。また市況で判断していればきりがない」としている。

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TechCrunch Japan

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