人と人とのつながりを視覚化するConnect the DotsがシリーズAで17.1億円を調達

営業が常に求めているのは、見込み客との接触を上手く進める何かだ。ターゲット顧客に勤める人を知っている誰かに紹介してもらえれば、その顧客が関心をもってくれる可能性は高まる。

Salesforce(セールスフォース)の元幹部は、そうしたコネクションを簡単に見つけられるようにしたいと考え、Connect the Dots(コネクト・ザ・ドッツ)というスタートアップを立ち上げた。

仕組みはこうだ。登録すると、Connect the Dotsは手元にあるメールアドレスをすべてスキャンし、さまざまな企業とのつながりを探す。データを収集したら、相互に関連付ける。企業を指定すると、知り合いがいるかどうかがわかり、そのつながりの強さが3つの色がついた点で示される。すべて緑色であれば、それは確かなつながりであり、メールでの紹介をリクエストできる。

Salesforceの36番目の社員として1999年に入社したDrew Sechrist(ドリュー・シークリスト)氏は、Marc Benioff(マーク・ベニオフ)氏の初期の営業チームにいた。Salesforceが何者で、ホステッドソフトウェアとは何なのかを、誰も知らなかった時代に、それらを売り込んでいた。同氏は、人脈が販売促進につながることを早くから認識していた。同氏はベニオフ氏を「ナンバーワンのアルファネットワーカー」と呼んだ。初めの頃は、ベニオフ氏のところに行けばいつも誰かを紹介してくれた。そうすればプレゼンが首尾よく運んだし、飛び込みに比べ、売れるチャンスもかなり高くなった。

関連記事:20歳になったSalesforceから学ぶ、スタートアップ成功の心得

シークリスト氏は、電子メールが重要なコネクターになると考えている。「私たちには、人間関係を表す、延々と増える電子メールがあります。それをまとめて、価値あるものにする方法がなかっただけなのです。しかし、機械学習やその他の高度な技術により、データから価値を抽出し、誰が誰を知っているかを示す関係性をグラフに表せるようになりました」と説明する。

同氏は、LinkedIn(リンクトイン)も同じことができるように設計されていると認めるが、あまりにもノイズが多く、それゆえに信頼性に欠けるという。

「営業や採用担当者などがLinkedInで誰かに人の紹介を頼んでも、頼まれた側が実際にはその人をよく知らないということが続くため、疲れてしまうのです」。

そこでシークリスト氏は、もっと良い方法を開発したいと考えた。現在、Connect the Dotsでは、リクエストに応じてソーシャルグラフのベータ版を提供している。また、ソーシャルグラフを利用している人を知っていれば、Clubhouse(クラブハウス)方式でユーザーベース構築を始めることもできる。

同社は、500万ドル(約5億7000万円)のシードラウンドを使って製品を開発した。先にNorwest Venture Partnersがリードする1500万ドル(約17億1000万円)のラウンドを完了した。既存投資家であるCloud Apps Capital PartnersとVelvet Sea Venturesも参加した。これで累計調達額は2000万ドル(約22億8000万円)となった。

現在、同社の従業員は55名。本拠地はサンフランシスコだが、従業員は分散しており、セルビアには大きなエンジニアリングチームがある。シークリスト氏は現在、マイアミに住んでいる。同氏は、新たな資金で来年中にチームを倍増させる計画だ。

Salesforce出身の同氏は、最近チームにV2MOMを作らせた。この文書のアイデアはSalesforceから持ちこんだものだ。SalesforceによるとV2MOMとは「ビジョン、バリュー、ミッション、目標、手段を表すマネジメントプロセスとそれらの頭文字をとったもの」だという。

「ちょうどV2MOMを完成させたところです。先週、ヨーロッパと米国からメキシコに人を送りました。1週間かけて当社のコアバリューを定義しましたが、その1つが『インクルーシブ』です。私たちは、すべての人を受け入れることのできる会社と製品を作りたいと思っています」。

特に、従業員の大部分がセルビア人であることから、人種的な多様性を確保するのは難しいと認めている。それでも、来年には従業員数を2倍にする計画の下、多様性の確保に取り組んでいる。シークリスト氏の計画では、職場はこれからもほぼリモート環境のままだ。そのため、どこからでも人を集めることができるはずだ。

シークリスト氏は、パートナーシップのためのネットワーク企業であるCrossbeamと同様、ネットワークが「ネットワークのネットワーク」へと成長していけば、フライホイール効果が生まれ、多くの人々が製品を使い、製品の価値が高まっていくと期待している。2022年前半には、この製品を一般に販売したいと考えている。

画像クレジット:Yuichiro Chino / Getty Images

原文へ

(文:Ron Miller、翻訳:Nariko Mizoguchi

投稿者:

TechCrunch Japan

TechCrunchは2005年にシリコンバレーでスタートし、スタートアップ企業の紹介やインターネットの新しいプロダクトのレビュー、そして業界の重要なニュースを扱うテクノロジーメディアとして成長してきました。現在、米国を始め、欧州、アジア地域のテクノロジー業界の話題をカバーしています。そして、米国では2010年9月に世界的なオンラインメディア企業のAOLの傘下となりその運営が続けられています。 日本では2006年6月から翻訳版となるTechCrunch Japanが産声を上げてスタートしています。その後、日本でのオリジナル記事の投稿やイベントなどを開催しています。なお、TechCrunch Japanも2011年4月1日より米国と同様に米AOLの日本法人AOLオンライン・ジャパンにより運営されています。