人事と現場を結び、新入社メンバーの定着を支援するオンボーディングサービス「Onn」がリリース

人事と現場を結び、新入社メンバーの定着を支援するオンボーディングサービス「Onn」がリリース

ワークサイドは2月15日、従業員体験を向上させるオンボーディングプラットフォーム「Onn」(オン)のリリースを発表した。

ワークサイド代表取締役の秋山貫太氏は、「オンボーディングという入社後のケアを企業としてしっかり行うことで、従業員の方々が仕事をする、働き続ける中で、会社に対してポジティブな印象を持つ、あるいはエンゲージメントを高めることに寄与するサービスを提供したい」という。

「オンボーディング」とは、新たに入社したメンバーがいち早く組織になじみ、活躍できるように、周囲がサポートする取り組みやプロセスを指す。Onnは、この「オンボーディング」を仕組み化し、組織全体で効果的に実施できるよう支援するクラウドサービスだ。

入社者に関する情報の一元管理、人事や現場など複数の部門の連携を促進するアクティビティ機能などを提供することで、オンボーディングに関わる部門の情報格差をなくすという。またOnnでは、入社者へのアンケートを実施することで日々の仕事の充実度や入社後の満足度を数値化し、コンディションを可視化できるようにしている。

人事と現場を結び、新入社メンバーの定着を支援するオンボーディングサービス「Onn」がリリース

 

入社直後から半年が重要な期間

これまで秋山氏は、リクルートはじめ「人材領域」(HD)および「プロダクト」を中心とするキャリアに重ねてきたという。人材採用領域中心だったのだが、今後10年は採用「以降」、就職「後」をテーマとして良いサービスを手がけるため、2018年9月に起業した。

人事と現場を結び、新入社メンバーの定着を支援するオンボーディングサービス「Onn」がリリース

秋山氏が、自らのテーマを採用「以降」とした理由は、100社を超える企業経営者や人事担当者へのヒアリングを通じて得られた悩みがきっかけと明かす。昨今は採用がそもそも難しくなっており、だからこそ採用後の定着や活躍に力を入れたいとしているものの、この点で課題を抱えている企業は少なくない。秋山氏によると、採用については様々なサービスが出揃いつつある一方、入社後のオンボーディングには有効な手立てがないという声が多かったそうだ。

また秋山氏は、「入社直後から半年間」が重要な期間としており、この期間で約8割の方が長く勤めるかどうか決めていると紹介。さらに、オンボーディングが重要視される理由として、早期離職による損失が大きい点を指摘。採用費、人件費、教育費など金銭的な損失だけでなく、事業進捗や採用計画、チームコンディションなど様々な面に影響が及ぶと指摘した。

オンボーディングを仕組み化し、支援する「Onn」

ただし秋山氏によると、一般に新入社員のオンボーディングは、複数の部門が関わること、部門また時間軸により担当者が変わることから構造的に分断されているという。採用から入社までは採用部門、研修は人材開発部門、現場配属後の受け入れは現場の上司やメンターが担当するなど、多くは分業体制を採用している。

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そのため、採用担当者による新入社メンバーの情報が現場担当者に共有されない、人事部門と研修担当者および新入社メンバー間でやり取りに手間取ったりなどが起きがちだとした。人事と現場のプログラムに一貫性がない、入社者の悩みをキャッチしづらいなどの課題も見逃せない。

これらの課題に対して、ワークサイドのOnnでは「オンボーディング特化アンケート」「オンボーディングログの一元管理」「アクティビティ機能」により支援を行う。

人事と現場を結び、新入社メンバーの定着を支援するオンボーディングサービス「Onn」がリリース

オンボーディング特化アンケートでは、入社前後のコンディションをリアルタイムで把握可能なよう、自動配信アンケート機能を採用。週次などでのアンケートが可能で、「会社の経営理念、ビジョン・ミッションに共感できたか?」「上司や同僚との関係は良好か?」「各種申請や手続きなどの社内ルールは理解できたか?」など、多岐にわたる質問を行える。また、新入社メンバーの回答結果の蓄積し、閲覧できるようにしている。

またアンケートおよび回答結果などに関しては、Slackとの連携も可能。例えば新入社メンバーが「仕事の役割の明確さ」「仕事の進捗」を改善点としている場合などにアラートマークなどが表示されるという。

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オンボーディングログの一元管理では、入社メンバーとの面談メモやコミュニケーションメモなどの散らばりやすい情報について、採用部門、人材開発部門、現場の上司やメンターが共有可能。複数部門で連携しやすいようにしたという。

アクティビティ機能は、入社者に関する情報をタイムリーに全員で共有し、人事と現場間の連携を行えるようにしたもの。直接Onn上で関係者同士がコミュニケーションを取れるようにしており、人事と現場の分断を防げるようにしている。また現場の上司やメンター側からの情報を人事に共有できる点をメリットとして挙げていた。

今後は、新入社メンバーの情報について、採用管理ツールなどと連携したりなども考えているとした。

コロナ禍におけるオンボーディング

また昨今、コロナ禍におけるテレワーク・リモートワーク推進により、オンラインでのオンボーディングが増え、入社メンバーの状態の把握がさらに難しくなってきているという。

秋山氏によると、「問い合わせの質が変わってきた」そうだ。最も多いのは、従業員の働いている様子が見えにくいというもので、特に新たに入社した者の表情、働きぶりが見えず、可視化ツールや解決手段としてOnnを必要とする声が増えているそうだ。

秋山氏は、これまでのようなアンケートツールだけではなく、その先にある人事と現場の連携を価値として提供していくとしていた。

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カテゴリー:HRテック
タグ:オンボーディングワークサイド日本(国・地域)

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TechCrunch Japan

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