人工知能による転職マッチングサービス「mitsucari」を展開するミライセルフが5000万円を調達

meryeself_mitsukari_screenshot

ミライセルフ ミツカリ

新卒時の就職でもキャリアを発展させるための転職でも、自分の価値観に基づいた働き方を実現できる企業を見つけることは難しい。企業にはそれぞれの組織文化があるが、面接などの選考プロセスを通してもそれらは実際に働いてみるまで見えづらいものだからだ。ミライセルフがベータローンチした人工知能による転職マッチングサービスのmitsucari(ミツカリ)は、価値観に基づくマッチングで働く人と企業とのミスマッチを解消しようとしている。ミライセルフは先日、mitsucariの正式ローンチに向けた開発、日本国内と海外企業へのセールス活動、アプリ対応を図るため、日本ベンチャーキャピタルとエンジェル投資家から5000万円を調達した。

ミライセルフはカリフォルニアと大阪に拠点を持つスタートアップだ。カリフォルニア大学バークレー校でMBAを修了したCEOの表孝憲氏とGoogleマウンテンビュー本社でソフトウェアエンジニアとしてトップ5%賞を受賞した経験を持つCTOの井上真大氏が2014年8月にカリフォルニアで創業した。

彼らがベータローンチしたmitsucariは、人工知能により個人と企業の共通する要素を見つけ、似た価値観の転職者と企業をつなげる。潜在転職者は全48問のキャリア志向、心の知能指数、パーソナリティ、シンキング力に関する質問に回答する。それらの結果を元に、人工知能が企業との「マッチングスコア」を算出し、転職者との一致率の高い企業を導き出す。mitsucariの一番の特徴は、一般的な転職マッチングサービスとは異なり、心理学の研究に基づいた価値観や人柄を重要視している点だ。例えば、質問には人の顔の写真から感情を読み取る問題など、感覚的に回答するものも多く含まれている。48問と問題数を多く設定しているのは、十分なデータ数を集計することで、より最適な企業とのマッチングが行うためだとCEOの表氏がTechCrunchの取材に答えた。

彼らのアルゴリズムは人生を良くするための「AIoL (Artificial Intelleigence of Life)」であると話した。人が一日に判断できる情報量は増加していないにも関わらず、接する情報量は増え続けている。彼らは、アルゴリズムに大量のデータをインプットすることで、今まで人間が認識することができなかった切り口で人と企業との共通点を導きだし、最適なマッチングが提供できるようになると言う。

今回調達した5000万円はmitsucariの開発、日本国内及び海外企業へのセールス活動、英語対応やアプリ対応に充てられる。mitsucariのサービスは現在ベータローンチの段階だが、9月半ばを目処に正式ローンチの予定だ。

カリフォルニアに拠点を置いていることから、潜在転職者は日本企業のみならず海外企業とのマッチングも可能となる。日本企業、海外企業といった枠を超えて、自分が活躍できる企業を探している海外大学に留学中の日本人学生や海外でのキャリアパスを考える転職者にとってこのサービスは自身の価値観や働き方を再考し、それを実現できる企業を特定するきっかけとなるかもしれない。

創業からわずか1年足らずでの5000万円の調達は、比較的規模の大きい資金調達ラウンドと言えるだろう。人工知能による人材採用の分野にはTalentBaseといったスタートアップや大手のリクルートも人口知能研究所「Recruit Institute of Technology」を創設して賑わいを見せている。人工知能で人の価値観や考え方が数量化され、それを持って企業との相性が分かり、個人と企業のミスマッチが少なくなる未来が近づいてきているのかもしれない。

投稿者:

TechCrunch Japan

TechCrunchは2005年にシリコンバレーでスタートし、スタートアップ企業の紹介やインターネットの新しいプロダクトのレビュー、そして業界の重要なニュースを扱うテクノロジーメディアとして成長してきました。現在、米国を始め、欧州、アジア地域のテクノロジー業界の話題をカバーしています。そして、米国では2010年9月に世界的なオンラインメディア企業のAOLの傘下となりその運営が続けられています。 日本では2006年6月から翻訳版となるTechCrunch Japanが産声を上げてスタートしています。その後、日本でのオリジナル記事の投稿やイベントなどを開催しています。なお、TechCrunch Japanも2011年4月1日より米国と同様に米AOLの日本法人AOLオンライン・ジャパンにより運営されています。