人材サービスのITプロパートナーズが教育事業に参入、企業ニーズを講座作りに反映

ITプロパートナーズは優秀なIT人材向けと週2回から仕事を依頼したい企業とをつなげる人材採用サービスを提供している。ITプロパートナーズは2017年4月から新たにIT教育サービス「ITプロカレッジ」を展開しているが、今回新卒の就職支援を提供する新サービス「intee(インティ)」を6月中旬に開始すると発表した。

まず、彼らの主力サービス「ITプロパートナーズ」について説明したい。これは、エンジニアやデザイナーといったIT人材と週数回から即戦力となる人材を求めている企業とをつなぐ人材サービスだ。

優秀でスキルのある人はキャリアパスとして転職するか、独立して起業することを考えると代表取締役を務める木村直人氏は説明する。しかし、独立した途端収入がなくなるのでは起業しづらい。いくらか収入を得ながら起業やプロダクト開発を行いたいと考えている優秀な人材は多いと木村氏は言う。

ITプロパートナーズ代表取締役、木村直人氏

一方、IT業界は人材不足で、企業にとっては優秀な人材を確保することが難しくなっている。企業は正社員という形でなくとも即戦力が欲しい。ITプロパートナーズは柔軟な働き方をしたいIT人材と即戦力を求める企業をつなげることで双方の課題解決を目指すサービスだ。

ITプロパートナーズは2015年2月に創業して以来、登録しているユーザーは1万名以上、掲載案件も1000件を超えたという。開発の案件が多いが、デザインやマーケティングの求人も増えているそうだ。

人材サービスがIT教育サービスを手がける理由

ITプロパートナーズは2017年4月にIT教育サービス「ITプロカレッジ」をローンチした。これはウェブ上でプログラミングを学び、ウェブアプリ開発を習得できる講座だ。4週間、8週間、12週間のコースが選べ、Slackでのチャットサポートとビデオメンタリングも合わせて提供する。

プログラミングを学べるウェブサービスや講座は珍しいものではないだろう。けれどITプロカレッジが他と違うのは、企業のニーズをすぐに教育コンテンツに反映できる点と木村氏は話す。

「C向けの教育サービスとしては最後発ですが、人材サービスを展開しているからこそタイムリーにIT系の仕事のニーズが分かるのが強みです」。

今ならセキュリティーや人工知能のスキルがある人材の引き合いが多い。デザイナーであればウェブデザインだけでなく、UIやUXのデザインスキルもあると給与が月10万円単位で変わるといったことが企業の求人情報から把握できる。

ITプロカレッジではそうした市場価値の高いスキルをコンテンツとして落とし込み、ITプロパートナーズの登録者や今プロとして活躍している人向けに提供していきたい考えだ。現時点でITプロカレッジが提供しているのは、未経験や初心者向けのプログラミング講座のみだが、徐々にそうしたコンテンツを追加していく予定だという。

そして、今回新たに新卒向けの就職支援サービス「intee」を発表した。inteeのプログラムに選ばれた学生は無料でITプロカレッジの講座を受講することができる。プログラムの最後には学生から企業にこれまでの取り組みやキャリアビジョンをプレゼンする就職イベントを開催する予定だ。

入社する前にITのスキルがあると選択肢が増えると木村氏は話す。まずは20名を対象にinteeのサービスを提供し、8月頃には最初の就職イベントを開催する予定だそうだ。

木村氏は求人メディア「Green」などを手がけるアトラエ出身で、2015年2月にITプロパートナーズを創業した。外部資本は入れていない。売上も順調に推移していて、昨年度の着地は6億円以上、今年度は売上13億円を目標にしているという。

最終的にITプロパートナーズが目指すのは、新卒からシニアまで価値を提供することと木村氏は言う。「本当にできる人が企業に所属し続けるとは考えづらい」とし、新卒から定年退職したシニアの人材まで自立した働き方を望む人の支援を行っていきたいと話している。

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TechCrunch Japan

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