人間の食品並のこだわりドッグフードが届く「CoCo Gourmet」、運営は1800万円の調達も

ペット領域で事業を展開するバイオフィリアは6月3日、獣医師・動物栄養学博士が監修するドッグフードの定期購入サービス「CoCo Gourmet(ココ グルメ)」の事前予約受付をスタートした。

同社で代表取締役CEOを務める岩橋洸太氏の言葉を借りれば、CoCo Gourmetは「手作り食のようなドッグフード」のD2Cブランドだ。愛犬を家族のような存在として捉え、少しでも長生きして欲しいと考える飼い主に対して、素材や製法からこだわった健康的なドッグフードを定期的に届ける。

大きなコンセプトは(1)新鮮な食材をそのままに(2)手作りよりも健康的 (3)ヒューマングレードの3点だ。

一般的なドライフードやウエットフードとは異なり、新鮮な肉や野菜を必要最低限の加熱処理のみで調理して冷凍保存するため、食材の栄養価を大きく損なうことなく摂取できるのが特徴。食材そのものが含む水分を保持していることから犬にとっても食べやすいという。

「(ドライ加工やレトルト加工された従来のドッグフードの場合)常温保存ができるようにするため、水分量を10%以下まで落とす加熱発泡処理や、高温高圧による殺菌処理がされている。結果的に栄養価が低下してしまい、足りない分を後からサプリメントで補給するという声もよく耳にする」(岩橋氏)

また飼い主の中には「良いものを食べさせたい」と考えフードを手作りする人も少なくないそうだが、必要な栄養素を網羅した食事を作るのは簡単ではない。

CoCo Gourmetでは動物栄養学の専門家による監修のもと、栄養バランスの良いレシピを作成。総合栄養食の取得も申請中で「手作り食のような質と愛犬が健康的に生きるために必要な栄養素を両立した食事」(岩橋氏)を展開していくのが目標だ。

初期のタイミングでは「チキングルメ」と「ポークグルメ」の2種類を提供する計画で、価格は1箱あたり4480円(1.4kg / 3kgのトイプードルで28食分)。6月18日までの事前予約分については1箱980円で購入できる。

ヒューマングレードを謳っているように、これらのフードは人間が口にするものと同じ品質の食材を利用し、加工や配送、保管など全てのフェーズで食品と同等の基準で管理しているそう。ドッグフード専用の工場で作られることの多い従来の製品とは違い、人間用の食品を手がける工場が製造を担う。

アメリカで先行するペットフード×D2C

CoCo Gourmetを開発するバイオフィリアは2017年8月の設立。これまではペット領域でメディアやアプリなどの事業を展開してきたが、今回新たにフードのD2C事業を始める。

1つのきっかけは岩橋氏が愛犬2頭を立て続けに病気で亡くしてしまったこと。「もっと何かできることがあったのではないかと考えた時に、人間同様に動物にも大きな影響を与える『食』の領域でチャレンジしたいと思った」(岩橋氏)ところから、新しいフードを開発するプロジェクトがスタートした。

事業として継続するからにはビジネスとしてきちんと成り立つようなモデルを作る必要があるが、バイオフィリアCOOの矢作裕之氏によると「生鮮食品のような形でペットフードをD2Cモデルで展開するサービスは、アメリカでは数年前から出てきていて各社グロースしている」そう。

今年1月に3900万ドル(約42億円)を調達した「The Farmer’s Dog」を筆頭に1000万ドルを超える資金調達を実施済みの「NomNomNow」や「ollie」のようなプレイヤーが出てきていて、日本でも同じようなビジネスを展開できるチャンスがあると考えているようだ。

「日本において犬の飼育頭数は900万頭弱で減少傾向にあるものの、ドッグフードを含めペットフードの市場自体は拡大が見込まれている領域だ。飼い主がより良いフードを買おうとする文脈が広がってきているのではないかと考えている」(矢作氏)

左からバイオフィリア代表取締役CEOの岩橋洸太氏、同COOの矢作裕之氏

コアなユーザー層は子育てが一段落した夫婦や子どもがいない夫婦など、ペットを家族の一員として考え、ある程度のお金をかけたいとの気持ちが強い飼い主たちを想定。「『良いものを選んであげたいけれど、どれを選べばいいのかわからない』という課題に対して、圧倒的に良いソリューションを提供する」(岩橋氏)ことを目指している。

バイオフィリアでは今回CoCo Gourmetの事前予約受付の開始とともに、アプリコットベンチャーズとバルクオムCEOの野口卓也氏を引受先とする第三者割当増資により1800万円を調達したことも発表した。

調達した資金はCoCo Gourmetのマーケティングやサポート体制の確立に用いる計画。まずはフードの領域からスタートするが、ゆくゆくはペット領域でD2Cモデルの事業を横展開することも視野に入れているという。

投稿者:

TechCrunch Japan

TechCrunchは2005年にシリコンバレーでスタートし、スタートアップ企業の紹介やインターネットの新しいプロダクトのレビュー、そして業界の重要なニュースを扱うテクノロジーメディアとして成長してきました。現在、米国を始め、欧州、アジア地域のテクノロジー業界の話題をカバーしています。そして、米国では2010年9月に世界的なオンラインメディア企業のAOLの傘下となりその運営が続けられています。 日本では2006年6月から翻訳版となるTechCrunch Japanが産声を上げてスタートしています。その後、日本でのオリジナル記事の投稿やイベントなどを開催しています。なお、TechCrunch Japanも2011年4月1日より米国と同様に米AOLの日本法人AOLオンライン・ジャパンにより運営されています。