今後5年で1000万台、世界をリードするスマートeバイクを目指すVanMoofが約141億円調達

アムステルダム発の電動自転車スタートアップVanMoof(ヴァンムーフ)は米国時間9月1日、シリーズCラウンドで1億2800万ドル(約141億円)の資金を調達したと発表した。VanMoofは、一部の市場でかなり人気のあるeバイク(電動アシスト自転車)の設計・販売を行っている企業だ。同社は現在、イタレーションをより速いペースで行うことにより、世界をリードするeバイクブランドになることを目指している。

今ラウンドはアジアを拠点とするプライベートエクイティ企業Hillhouse Investmentがリードし、Booking.com(ブッキング・ドットコム)の元CEOであるGillian Tans(ジリアン・タンズ)氏も参加している。また、Norwest Venture Partners、Felix Capital、Balderton Capital 、TriplePoint Capitalなどの既存投資家も、さらに資金を投入した。

今回のシリーズCは、同社のシリーズBに比べて大きな飛躍を遂げている。2020年、VanMoofは4000万ドル(約44億円)のシリーズBを調達した。全体では、同社はこれまでに総額1億8200万ドル(約200億円)を調達したことになる。

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VanMoofのeバイクに馴染みのない方は、TechCrunchで最新のS3X3の両モデルを以前レビューしている。機能の上では、両者は同じだ。VanMoof X3は、より小さなフレームと小さなホイールを採用している。

VanMoofが一般的なeバイクメーカーと異なる点は、サプライチェーンから顧客体験まで、すべてをコントロールしようとしていることだ。VanMoofのeバイクは、主に街乗り用に設計されたプレミアムeバイクだ。最新モデルの価格は、2298ドル(日本では税込27万5000円)となっている。

同社のeバイクは、電動モーターと電動変速システムを組み合わせているのが特徴だ。4つのギアがあり、自分でギアチェンジをする必要はない。自転車に乗って、ペダルを漕ぐだけだ。

未来的な三角形のフレームが特徴的なS3とX3には、油圧式ブレーキ、ライト、そしていくつかのスマートバイク機能が搭載されている。S3とX3には、アラーム機能付きモーションディテクター、GPSチップ、スマホ接続機能などが搭載されている。

自転車の盗難を報告すると、GPSと携帯電話のチップが稼動し、VanMoofアプリで自転車を追跡することができる。また、Apple(アップル)の「探す(Find My)」アプリにも対応するようになった。

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VanMoofは、既製の部品だけに頼るのではなく、少数のサプライヤーと協力してカスタム部品を製造している。そうすることで、できるだけ多くの中間業者を排除し、コストを抑えられる。これは競合優位性にもつながる。

VanMoofのような企業を成長させるのは、資本集約的なビジネスだ。同社は、世界50都市に小売店とサービス拠点を開設している。もともと欧州でスタートした同社だが、現在は米国がVanMoofにとってもっとも急速に成長している市場となっている。

今回の資金調達により、VanMoofは現在の戦略をさらに強化する予定だ。研ぎ澄まされたデザインとより多くのカスタムパーツを備えた最新のバイクが期待できる。また、世界中に店舗やサービス拠点を増やしていく予定とのこと。そしてオンライン販売の拡大も予想される。

共同設立者兼CEOのTaco Carlier(タコ・カーリエ)氏は、声明でこう述べている。「(この資金調達により)今後5年間で、1000万人の人々に同社のeバイクに乗ってもらうことができます」。ちなみに今のところ、VanMoofのeバイクは15万人に利用されている。

今日の投資は、驚くべきことではない。新型コロナのパンデミックはヨーロッパの都市を変革する計画を加速させ、自動車よりも自転車を優先させる状況を作った。2020年、TechCrunchの同僚であるNatasha Lomas(ナターシャ・ロマス)と私は、パリ、バルセロナ、ロンドン、ミラノの4つの主要都市における主要な政策展開の包括的な概要を書いた。VanMoofは現在、こうした政策の変化の恩恵を受けている。

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(文:Romain Dillet、翻訳:Aya Nakazato)

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TechCrunch Japan

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