今週のまとめ ― 「忘れられる権利」でGoogleに削除命令

5月14日、EU裁判所はGoogleに対して、検索結果の削除要請に応じてリンクを削除するよう裁定を下した。いわゆる「忘れられる権利」を尊重したもの。Googleは「提供しているのはリンクだけで実体は別」という趣旨の反論をしているというが、それで免られるものではないだろう。Googleで見つからないものは、事実上そこに「ない」のと同じ。

日本では2012年に、検索候補(Googleサジェスト)の表示に対して削除命令が出されたことがある。

そして今回の削除命令に対して、予想されたことではあろうが、裁判所には削除要請が殺倒した。

一スペイン人からの要求が先例となって、同様の申し立てが次々と裁判所に持ち込まれ始めている。

Googleは裁定に不服を申し立てている一方で、市民からの要請を受け付けるしくみを2週間以内に準備すると、ドイツのプライバシー保護当局に伝えているという。

削除対象は、あくまでも「事実に反すること」あるいは解決して「事実ではなくなったこと」等。しかし、たとえ事実であっても「ほじくり出されたくない過去」を持つ人は大勢いる。否定が可能な「誤った事実」よりも、こちらの方が面倒かもしれない。

何かと裁判所との縁が深いGoogleだが、こんなニュースもあった。

AppleとGoogle、相互の特許訴訟を終結させることで合意―「特許制度改革のために協力」

二社間で争われている様々な特許訴訟を両者合意で取り下げるというもので、分野が限定されているとはいえ、IT巨人同志の緊張緩和はビッグニュースと言ってよい。ただし、米国司法省の「反トラスト」政策がこれをどうみるか今後の成り行きが注目される。

Twitterの「ミュート」機能とは

Twitter、ミュートを正式導入―アンフォローせずに特定の相手を非表示にできる

Twitterでフォローするのは、その人のツイートを読みたいからに違いないが、「今は見たくない」という時に、テレビのミュート(消音)ボタンのように相手の発言を一時的に非表示にできるのが「ミュート」機能だ。フォローを解除する「アンフォロー」と異なり、ミュートしたことは相手に知られずに設定できる。やや変わった使い方として、「相手が自分にダイレクトメッセージを送れるためにフォローはするが、ツイートは読みたくない」時にミュートするというのもある。

相手に知られずに済むから気軽に設定できる、というのがミュートの特徴だが、それが理由でミュートはTwitterをつまらなくすると言う意見もある。つまり、事をあらだてたくないからアンフォローはしない、という人でもミュートはするかもしれないので、今まで以上にツイートが「読まれなくなる」可能性が高くなるというわけだ。

iPadにマルチタスク登場か


Apple、iOS 8でiPadにマルチタスクと画面分割を導入するらしい

Apple製品に関する「噂」といえばiPhoneが圧倒的に多いが、これはiPadのOSに関する話題。マルチタスクとなると、iPhoneよりもiPadで威力を発揮することは容易に想像できる。MicrosoftがSurfaceの「iPadに対する優位性」としてマルチタスクによる画面分割を強調している他、AndroidのSamsungタブレットでも同様の機能を提供している。一般にApple iOSは新機能の導入が遅い。今となっては想像もつかないが2009年のiPhone OS 3.0まで、iPhoneに「コピー&ペースト」はなかった。

公式のマルチタスクiPadはもちろん存在しないが、Jailbreak(脱獄)して同機能を実現したものを、Jordan Crook記者が実際に使ってみて、iPadのマルチタスクはこんなに便利と報告している。

関連して、最近iPad用アプリのダウンロード数で上位を占めているMicrosoft OfficeのiPad版アプリは、46日で2700万ダウンロードを達成した。

自動走行車は75年前からの夢!

TechCrunchにも頻繁に登場するGoogleの自動走行車は、シリコンバレー付近を走っているとよく遭遇するらしい。そんなGoogleの野心的プロジェクトの発端となったのは、1939年のニューヨーク万博でフォード社が展示したコンセプトだった。70年後の2009年にプロジェクトはスタートし、現在は「ある意味人間以上の能力」を備えており、5年間に一度も衝突事故をも起こしていない。

よくぞここまで来たGoogleの自動走行車プロジェクト―発端は75年前のNY万博のGM館だった

AppStoreは愚民を作る?

AppleのAppStoreで公開されている「無料アプリ」のランキングには、かつて様々なアプリが登場していたが、今やゲームアプリが席巻している。ただし本当の意味で「無料」のゲームは少なく、「アプリ内購入」によって収益を上げているアプリは、「無料アプリ」に分類されるため、アイテムやバーチャル通貨を売るゲームアプリが上位を占める結果になっている。その中でも最近のゲームは特に低俗だと嘆いているのが、Sarah Perez記者の、App Storeは今の社会が愚民社会である証拠という記事。

先進国のスマートフォン市場は飽和状態にあり、一般大衆はTechCrunchでよく話題になるような生産性アプリよりゲームを好んでダウンロードするというわけだ。日本でもテレビCMに出てくるスマートフォンアプリは殆どがゲームである。

そんな中、超単純超難解ゲームとして最近驚異的な売上を見せた後、突如AppStoreから消えてしまったFlappy Birdは、作者が復活を約束―マルチプレイヤー対応で「より中毒性の低いバージョン」とのこと。

未来の折りたたみ式電動自転車

最後はちょっと楽しいガジェットの話題。

この未来的電動アシスト自転車、Gi-Bikeの特徴は、
《折りたたむのも開くのもわずか1秒。チェーンではなくカーボンベルトで駆動。電動アシストは一回充電すると40マイル有効。GPS装置は自転車が一定の範囲外に出たら自転車を自動的にロックする(盗難防止)。携帯の充電ができる。電動自転車(ニューヨークでは違法)ではなく、あくまでも電動アシスト自転車である。》
と数多い。Kickstarterで支援者募集中だが、目標40万ドルのところ記事掲載時で2万ドル、5月20日8時現在でも6万5000ドルぼどで、残すところあと23日。さあ達成なるのか。

折りたたみ式電動アシスト自転車Gi-Bikeはスタイルも未来的


投稿者:

TechCrunch Japan

TechCrunchは2005年にシリコンバレーでスタートし、スタートアップ企業の紹介やインターネットの新しいプロダクトのレビュー、そして業界の重要なニュースを扱うテクノロジーメディアとして成長してきました。現在、米国を始め、欧州、アジア地域のテクノロジー業界の話題をカバーしています。そして、米国では2010年9月に世界的なオンラインメディア企業のAOLの傘下となりその運営が続けられています。 日本では2006年6月から翻訳版となるTechCrunch Japanが産声を上げてスタートしています。その後、日本でのオリジナル記事の投稿やイベントなどを開催しています。なお、TechCrunch Japanも2011年4月1日より米国と同様に米AOLの日本法人AOLオンライン・ジャパンにより運営されています。