仮想通貨取引所のビットバンクがポイントサイトのセレスから8.5億円を調達、スマホ向けサービスで協業

仮想通貨の会社とポイントサイトの会社が手を組んだ。7月12日、仮想通貨取引所を運営するビットバンクは、スマートフォン向けポイントサイトを運営するセレスを引受先とする第三者割当増資により8.5億円を調達する。セレスはこれに加えて既存株主からも株式を取得し、ビットバンクの株式の29.9%を保有する第2位の大株主となる。今後両社は仮想通貨関連の事業で協力していく。仮想通貨分野の中でも大型の資本業務提携といえる。

ビットバンクは今まで主に個人投資家と事業会社から資金を調達してきた。今回の資本提携で、ビットバンクはセレスの持分法適用会社となり、セレス代表取締役社長の都木聡氏がビットバンクの取締役となる。ただし1位の株主はビットバンク代表取締役CEOの廣末紀之氏のままだ。調達した資金は、仮想通貨取引所のマーケティング強化、仮想通貨交換業者として金融庁に登録する上で重要となる財務基盤の強化、人材獲得などにあてる。

セレスが運営するポイントサイトはアクティブユーザー数約300万人の規模だ。このリーチを活かし、セレスはスマートフォン向けの仮想通貨取引所サービスを提供する予定だ。ビットバンクの仮想通貨取引所サービスを相手先ブランドで提供できるbitbank for brokerを活用する。

ビットバンクでは今までビットバンク先物取引のBitbank Tradeが売り上げの主力だった。今後はスマートフォンを使うライトユーザー向けの仮想通貨取引所ビジネスに期待している。「モバイルのライトユーザーを取り込むことで、取引所の流動性が上がる。ビットバンクの取引所はスプレッド(売買の価格差)が小さいことはライトユーザーにも分かってもらえるはず」(廣末CEO)と話す。

両社は仮想通貨取引所のビジネスにとどまらず、仮想通貨とブロックチェーンに関わる将来的な事業に関しても協力する。いわゆる「レイヤー2」と呼ばれるマイクロペイメント分野や、IoT(Internet of Things)分野への展開も視野に入れる。セレスは発表資料の中でポイントサービスと仮想通貨&ブロックチェーン技術は「親和性が高いと考えている」と述べている。一方ビットバンクは「トークンエコノミー(非現金決済社会)の実現に向けて共同で事業展開」していくと述べている。これは、両社が仮想通貨取引所だけでなく、新しい応用に目を向けていることを示していると言っていい。

ビットコインに代表される仮想通貨は、その可能性の一部分だけしか具体化していない。現段階では一部の店舗やサービスでの少額決済や、仮想通貨取引所でのトレードなどに限られている。Ethereumプラットフォーム上のDapps(Decentralized Application:分散型アプリケーション)は多数登場しているが、その中に実稼働中の本格的なサービスがあるかどうかは議論の余地がある。

だが、仮想通貨の認知は広がりつつあり、それにつれて応用分野も広がりつつある。例えばICO(Initial Coin Offering:新規仮想通貨の発行による資金調達)が企業などの新たな資金調達手段となる可能性が真剣に議論されるようになった。ビットバンクもICOへの取り組みは考えているとのことだ。

また新技術のLightning Network(ビットコインのブロックチェーンの外部で高速・高頻度の少額決済を実行する)に代表される、マイクロペイメントによる新たな応用の可能性が開けようとしている。

セレスの事業であるモバイルサイトのサービスでは、スマートフォンで広告を閲覧したり、ミニゲームをプレイすることで換金性があるポイントが貯まる、いわゆるインセンティブマーケティングの枠組みを提供する。この枠組みと仮想通貨のマイクロペイメントを組み合わせると、例えば広告を閲覧するごとに仮想通貨が貯まる仕組みも実現できる。従来の「ポイント」と比べて仮想通貨が大きく異なる点は、特定の事業者のシステムに閉じておらず、インターネット経由で価値を交換可能なことだ。

ビットバンクは、ビットコイン先物取引のbitbank Trade、仮想通貨取引所のbitbank.cc、仮想通貨取引所のマッチングエンジンbitbank exchange、仮想通貨取引所参入事業者向けサービス(ホワイトラベル提供サービス)のbitbank for brokerを運営。また仮想通貨およびブロックチェーン関連ニュースサイトのビットコインニュース BTCNや、エンジニア教育プログラムのブロックチェーン大学校を運営している。

セレスは、スマートフォン向けポイントサイトであるモッピーモバトクお財布.comを運営。今まで仮想通貨およびブロックチェーン関連企業としては、今までにもbitFlyer、coincheck、Orbと提携してきた。また東大発ベンチャーの合同会社ジャノムと共同でビットコインによる投げ銭サービスCoinTipを提供している。

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TechCrunch Japan

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