仮想通貨批判の的であるエネルギー消費量を95%も削減する二相式液浸冷却式データセンターを展開するLiquidStack

データセンターとビットコイン採掘事業は、膨大なエネルギーを消費しており、この2つの事業が爆発的に成長すると、世界的な温室効果ガスの排出削減に向けた取り組みを帳消しにしてしまう恐れがある。これは仮想通貨事業に対する大きな批判の1つであり、業界の多くの人々がこの問題に対処しようとしている。

そこに新たに参入したLiquidStack(リキッドスタック)は、仮想通貨のハードウェア技術を開発するBitfury Group(ビットフューリー・グループ)から、1000万ドル(約11億円)の投資を受けてスピンアウトした会社だ。

以前はAllied Control Limited(アライド・コントロール・リミテッド)として知られていた同社は、オランダに本社を置き、米国で商業活動を行い、香港で研究開発を行う商業運営会社として再編されたと、声明で発表した。

この会社は、従来の空冷技術と比べてエネルギー消費量を95%削減するという二相式液浸冷却システムを採用した500kWのデータセンターを香港に建設した後、2015年にBitfuryに買収された。その後、両社は共同で160MWの二相液浸冷却型データセンターをいくつか展開してきた。

「Bitfuryは複数に渡る業界で革新を続けており、計算量の多いアプリケーションやインフラのためのLiquidStackによる革新的な冷却ソリューションに大きな成長の機会を見出しています」と、BitfuryのValery Vavilov(ヴァレリーヴァヴィロフ)CEOは述べている。「LiquidStackのリーダーシップチームは、我々の顧客やWiwynn(ウィイン)の戦略的サポートとともに、二相液浸冷却の世界的な採用と展開を急速に加速させると確信しています」。

今回の1000万ドルの資金調達は、台湾のコングロマリットであるWiwynnからのものだ。同社はデータセンターやインフラの開発を手がけており、2020年の売上高は63億ドル(約6900億円)に達している。

WiwynnのCEOであるEmily Hong(エミリー・ホン)氏は声明の中で「クラウドコンピューティング、AI、HPCの密度と消費電力が急速に増加しつつあるという問題に対処するため、Wiwynnは先進的な冷却ソリューションへの投資を続けています」と述べている。

LiquidStackの声明によると、同社の技術は空冷に比べてITラックあたりの排熱量を少なくとも21倍に向上させ、しかも水を必要としないとのこと。その結果、冷却に使用するエネルギーを41%削減し、データセンターのスペースを60%削減することができるという。

「Bitfuryは、組織のトップから草の根に至るまで、常に模範を示すことを重視しており、技術によって前進する企業です」と、LiquidStackの共同設立者でありCEOを務めるJoe Capes(ジョー・ケイプス)氏は述べている。「新たな資金調達を得てLiquidStackを起ち上げることで、我々は当社の強みと能力に集中することができます。クラウドサービス、AI、先進高性能コンピューティングの採用によって引き起こされる熱と持続可能性に関する困難な課題の解決に向けて、液冷技術、製品、サービスの開発を加速させていきます」。

カテゴリー:ブロックチェーン
タグ:LiquidStack仮想通貨資金調達地球温暖化データセンター

画像クレジット:Getty Images

原文へ

(文:Jonathan Shieber、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

投稿者:

TechCrunch Japan

TechCrunchは2005年にシリコンバレーでスタートし、スタートアップ企業の紹介やインターネットの新しいプロダクトのレビュー、そして業界の重要なニュースを扱うテクノロジーメディアとして成長してきました。現在、米国を始め、欧州、アジア地域のテクノロジー業界の話題をカバーしています。そして、米国では2010年9月に世界的なオンラインメディア企業のAOLの傘下となりその運営が続けられています。 日本では2006年6月から翻訳版となるTechCrunch Japanが産声を上げてスタートしています。その後、日本でのオリジナル記事の投稿やイベントなどを開催しています。なお、TechCrunch Japanも2011年4月1日より米国と同様に米AOLの日本法人AOLオンライン・ジャパンにより運営されています。