企業に社員の安否確認サービスを提供するBase Operationsが1億円超を調達

2017年にメキシコのプエブラを破壊的地震が襲ったとき、衝撃波はメキシコシティーに届き、この国の首都と近郊都市の建物を破壊した。その時、公共と民間それぞれの救急サービスが素早く行動を起こした。

当地で事業を営む多国籍企業にとって、社内のサポートサービスを試されるときだった。それは多国籍企業が外国人社員に対して必要とされる「注意義務」に合致したサービスでなければならない。社員の安全を確保するために守らなくてはならない最低限の基準だ。

メキシコシティー地震の後、フォーチュン500の保険会社中、少なくとも1社でそのサービスが欠けていた。全社員と連絡をとり全員の安否を確認するまでに2週間かかった。そこでその会社は、ワシントン拠点のスタートアップであるBase Operationsに、もっといい方法がないかと尋ねた。

安全・危機管理コンサルタントのCory Siskind(コリー・シスキンド)氏が設立した同社は、さまざまなネットサービスとモバイルアプリを駆使して、顧客企業とその社員に安全に関する最新情報を提供する。件の保険会社はBase Operationsのチェックイン機構がどのように機能するかを自然災害の模擬実験で試してみた。シスキンド氏によると、Base Operationsは社員の80%の居場所を2日以内に突き止めた。社員の半数以上が最初の24時間以内にチェックインした。

Base Operationsは、顧客企業が社員の位置を確認するためのダッシュボードや、海外を移動するスタッフのために、個人の位置情報に基づく潜在的リスクを警告するアプリを提供している。

「これは企業にとってコンプライアンスの問題であり、やらなくてはならない」とシスキンド氏は言う。「我々は企業の最高セキュリティー責任者らと協力して作業している。社員を新興国市場に送る際のリスク情報をPDFで渡しても、情報は更新されず、誰にも読まれない」。

営業やマーケティング部員が世界中を旅する会社には、コンプライアンス規定や注意義務を守るためのツールが必要だとシスキンド氏は言う。「我々は、人々に安全な行動を促し、強盗にあったり傷つけられたりしないためのさまざまな機能をが揃えている」。

最近Base Operationsは100万ドル(約1億800万円)を調達し、Glasswing Ventures、Spiro Ventures、中南米のアーリーステージ投資会社のMagma Partners、およびGood Growth Capitalらが出資した。Base Operationsは、2018年にTechStars Impace Acceleratorを卒業した。最新のラウンドで得た資金は、同社の営業、マーケティング部門の拡大、および研究開発の継続に使用される。

現在同社の顧客は、未発表の保険会社、イタリアの大手エネルギー会社のEnel(エネル)、および未発表の1社の計3社だ。Base Operationsのサービス提供地域は、メキシコシティー(メキシコ)、サンパウロ(ブラジル)、リオデジャネイロ(ブラジル)、ブエノスアイレス(アルゼンチン)、サンティアゴ(プエルトリコ)、サンホセ(コスタリカ)など15都市。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

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TechCrunch Japan

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