企業のセキュアなデータ活用を促進するデータカタログSaaSを手がけるQuollio Technologiesが5000万円のシード調達

データカタログSaaSによりデータガバナンスの実現を目指すQuollio Technologies(クオリオ)は1月11日、シードラウンドにおいて、第三者割当増資による5000万円の資金調達の実施を発表した。引受先はインキュベイトファンド。調達した資金はプロダクトの開発と組織体制の強化にあてる。またα版を近日リリースする予定。

現在データは「21世紀の石油」とも呼ばれるほど大きな存在となっており、様々なデータを資産として活用することが企業に求められている。しかしデータは、活用可能性と同時に誤用や漏洩・損害・賠償のリスクも含んでおり、未然防止が大きな課題となっている。そのため、「詳細がわからないデータについてはリスクを恐れ利用禁止にする」といった、データ活用そのものを萎縮させるという課題も発生している。

そうした問題を解決するための施策がデータガバナンスだ。データの入手背景や禁止事項などの詳細情報(メタデータ)を正しく理解し、リスクをカバーした状態でデータを活用するために欠かせないものとなっている。データ資産1つ1つのメタデータを管理し、より細かい粒度で制限することで、従来「アクセス禁止」「利用しないでおこう」とひとくくりで利用を否定していたデータに対して、「特定の条件下なら、このデータを使用しても大丈夫だ」といった柔軟な判断を可能とし、セキュアで自由なデータ活用を促進する。

データガバナンスは最近登場した新たな概念ではなく、DMBoK (Data Management Body of Knowledge) を筆頭に、2000年代から議論が重ねられてきた領域という。昨今では、企業の扱うデータ量が膨張し、データ利活用に関わる人数も増加している潮流から、データガバナンスを再び重要視する企業が増えているそうだ。

ただ、データガバナンスの概念自体の移り変わりの速さや、企業ごとに必要なデータ基盤・体制が大きく異なるためにデファクトスタンダードが生まれにくいという状況にある。特に日本では、市場を牽引するプレイヤー不足や経営側がデータ基盤について理解が浸透していないことから、海外よりも遅れを取っているという。こうした状況を解決するためクオリオは、データガバナンスに対する専門的な知見とデータ活用における現場オペレーションへの深い理解によって国内市場を牽引する存在となり、企業のデータ活用にイノベーションを起こすことを目指しているという。

クオリオは、「世界中の情報と知を繋げ、人類の新たな価値創造を促進する」をミッションに掲げ、2021年8月に設立。創業メンバーは、データサイエンスやデータエンジニアリングといった各領域におけるプロフェッショナルを中心に構成しており、データガバナンスの実現に向けた最初のソリューションとして、データカタログサービスの開発を行っている。

投稿者:

TechCrunch Japan

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