企業内で増大し複雑化するSaaSの管理を簡単にしてくれるTorii

Toriiの創業者たち。左からウリ・ハラマティ氏、Uri Nativ(ウリ・ナティフ)氏、Tal Bereznitskey(タル・ビリニシツキ)氏)。(画像クレジット:Torii)

ソフトウェアの爆発的な普及によって、多くの企業が少なくとも100種類以上のSaaSアプリケーションを使用しているが、そうしたソフトウェアを管理する世界は、以前に比べてより分散化され、より複雑になっている。

SaaS管理ツールのTorii(トリー)は、企業全体が使用しているクラウドアプリをまとめて管理することが可能で、すべてのアプリを探せるだけでなく、投資収益率を最適化するための対策を自動的にとってくれる。

TechCrunchが同社を取り上げたのは、2021年2月にWing Venture Capitalが主導するシリーズAで1000万ドルの調達を発表したときだった。Toriiの創業者でCEOのUri Haramati(ウリ・ハラマティ)氏は、年間経常収益が300%以上増加したこの1年を「私たちにとって非常にすばらしい年」と振り返る。

「行ったすべてのことにおいて、大きな成長が見られました」と彼は付け加えた。「それは、このラウンドに導いたパンデミックの動きと、誰もがクラウドに移行し、より多くのツール、より多くの科学的アプローチ、より良いコントロールを採用したという事実から始まったのです」。

収益の向上に加えてToriiは、Instacart(インスタカート)、Carrier Corporation(キヤリア・コーポレーション)、Bumble(バンブル)、Athletic Greens(アスレチック・グリーンズ)、Palo Alto Networks(パロアルト・ネットワークス)といった顧客と協力ながら、シリーズA直後には15人だったチームを70人にした。その内容は基本的に、市場開拓、マーケティング、カスタマーサクセスの各チームの強化とともに、セールスおよびマーケティング担当のバイスプレジデントを加えるといったリーダーシップチームの強化だった。

今回Toriiは、Tiger Global Managementが主導するシリーズBで5000万ドル(約57億2000万円)の資金調達を行い、資金調達の総額は6500万ドル(約74億4000万円)となった。Wing、Global Founders Capital、Uncork Capital、Entree Capital、Scopus Venturesなどの既存投資家も参加している。

ハラマティ氏は、今回のシリーズBをもう少し行う予定だったが、ソフトウェアの進化のスピードに会社がついていく必要があった。顧客が抱える主な問題の中には、コストと無駄の問題がある。複雑さが原因で無駄の割合が増加しており、ツールの追加が進むにつれて、ソフトウェアにかかるコストも増大している。

さらにセキュリティも加わり、あらゆるものが接続され、データが以前よりもはるかに簡単に流れるようになった今、別の問題や苦痛の種が生まれている、と彼は付け加えた。

実際、Toriiの顧客データによれば、企業は毎月平均19個の新しいクラウドアプリケーションを追加してる。そのうちの75%は、未承認、未審査、または会社のセキュリティポリシーに準拠していない可能性がある。それだけでなく、アプリのライセンスの平均35%が未使用または無駄になっている

ハラマティ氏は「2年前、3年前と比べても、問題の本質は変わらず、ただ規模が大きくなっています」という。「みんなの邪魔をしているとは言われたくないでしょう。大多数の従業員はテクノロジーを利用していますが、そのテクノロジーが標準以下の場合、40%の従業員が離職することがわかっています」。

シリーズBの資金を得たハラマティ氏は、資金の大半を製品エンジニアリング、マーケティング、セールス、カスタマーサクセスを中心としたチームの強化に充てる予定だ。2022年末には200人に成長することを目指している。また、顧客のエコシステム全体をつなぐことができるように、現時点で130以上を数えるツールとの統合をさらに進めていきたいと考えている。

一方、Wing Venture CapitalのパートナーであるJake Flomenberg(ジェイク・フローメンバーグ)氏は、SaaS管理の分野は彼がずっと以前から考えていた分野だという。フローメンバーグ氏は企業が「パズルの小さなピースをやりくりしている」のを眺めていたが、彼はハラマティ氏と彼のチームに出会って初めて、熟慮されたデータの収集と分析がどのようなものなのか、また熟慮された自動化とオーケストレーションがどのようなものなのかを目の当たりにした。

フローメンバーグ氏は「もし本当に重要なビジネス上の意思決定を行い、物事の自動化やオーケストレーションを始めようとするならば、4分の3程度の正確さのデータでは始めたくありません」という。「SaaSの崩壊は現実的なものになっていて、現時点ではカオスと呼ぶにふさわしいものになっています。利用者は自宅で好きなように振る舞うだけなので、管理するのは不可能です。IT担当者が容易に現状を把握できて、さらに大きな影響を与えることができる仕事に向かうことができるなら、それこそがToriiが向かっている方向であり、私に喜んで投資させたきっかけなのです」。

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(文:Christine Hall、翻訳:sako)

投稿者:

TechCrunch Japan

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