企業投資市場の成長にともないRampがゴールドマン・サックスから160億円の借入枠を確保

企業支出市場で競争するスタートアップであるRamp(ランプ)は米国時間2月10日、ゴールドマン・サックスから1億5000万ドル(約160億円)のデットファシリティを確保したと発表した。Rampは2020年初めに2300万ドル(約24億円)をシリーズAで調達後、同年12月下旬に3000万ドル(約32億円)をシリーズBで調達していた

TechCrunchはRampの共同創業者でCEOのEric Glyman(エリック・グリマン)氏と新しいクレジットアクセスについて話した。同氏は、それが確保されるまでは、Rampは顧客の企業支出を自社の貸借対照表から賄っていたと述べている。同社がより多くの顧客を獲得するにつれ、その方法では難しく非効率的になることが予想される。今回の迅速な資金調達により、実際そうなりつつあったことが示された。

TechCrunchが報じたようにこの大きなスタートアップカテゴリーは成長している。Ramp、BrexAirbaseDivvyTeampayなどが企業の支出をめぐって競争している。そうしたスタートアップは通常、カードへの請求に応じて企業にクレジットを提供し、インターチェンジの収入を回収し、場合によってはソフトウェアの収入も得る。

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Rampはプロダクトの仕事を支えるために新しいクレジットファシリティを使用する予定だとグリマン氏は述べ、リボルビングデットへの新しいアクセスによりソフトウェアへの投資に資本が解放されると指摘した。

これまでのところ、Rampのモデルは機能しているようだ。同社はTechCrunchに2020年11月から12月にかけて47%成長したと語った。これは収益ではなく取引量に関する数字である。ただし同社は取引量に応じて収益を上げるため、同じ期間に収益が急速に拡大したと推測できる。

首の後ろがチクチクする感じは正しい。Rampは今や十分な規模であり、単なるパーセンテージの成長指標よりも固い数値を開示できるはずだ。同社は約18カ月前に設立された後、2020年の秋に1億ドル(約105億円)の支出(割合ではなく合計数値)に達したことを私たちは知っている。そこから、同社の現在の支出ベースを見積もることができる。

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Rampは節約に焦点を当て、コーポレートカードという包みにくるんで、同社のソフトウェアパッケージに賭けている。同社は、顧客が経常的な支払いやその他の「悪い」支出を根絶する支援をする。

同社は競争にさらされている。Rampのライバルは、コーポレートカード製品の上にソフトウェアを位置づけている。TechCrunchの問いは、成熟しつつある企業支出分野のすべてのプレーヤーが、クレジットに関するサービスに加えソフトウェアレイヤーの料金を請求することになるかどうかだ(たとえばTeamPayはソフトウェア収益と取引量の結果の両方をTechCrunchに開示した)。

もしそうなら、企業支出のTAM(Total Addressable Market、実現可能な最大市場規模)は大きくなるはずだ。

企業の支出管理の分野で何が起こっているのかを理解するために、過去10年ほどのベンチャーキャピタルの世界の変化を思い起こしてほしい。昔、ベンチャーキャピタルはスタートアップに投資する資金を保有していた。現在の基準ではそれほど大きい金額ではなく、少数のプレイヤーに集中していた。資金は希少だった。したがって、ベンチャーキャピタリストはあなたを彼らのところに連れて行き、投資1ドルに対してより多くの株式を要求し、今日求められる水準のサービスを提供しなくてもよかった。しかし今やベンチャーの世界には資金が豊富にあるため、投資条件はより寛大になった。そして、単に資本へのアクセスを提供することに加えて、VCはおそらくスタートアップの採用活動や、さらに多くのことを支援したいと考えている。

企業の支出も同じだ。クレジットカードとコーポレートカードを提供することは、もはやほとんど当たり前のことになった。リボルビングチャージカードに加えてソフトウェアの価値が競争の対象になっている。

Rampがソフトウェアを拡張しながら、顧客ベース、支出、収益の点でどれだけ速く成長できるかを見届けたい。そして、どのライバルが最新のものをニュースとしてぶち上げられるか。見ていて楽しい分野だ。

カテゴリー:フィンテック
タグ:Ramp資金調達

画像クレジット:Bryan Mullennix / Getty Images

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(文:Alex Wilhelm、翻訳:Nariko Mizoguchi

投稿者:

TechCrunch Japan

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