企業支出管理の戦い激化の中、Brexが460億円を調達し評価額は8010億円

企業支出管理スタートアップのライバルであるRamp(ランプ)が評価額16億ドルで合計1億1500万ドル(約124億4000万円)を2回に渡るラウンドで調達したことを発表してからわずか数週間後の米国時間4月26日、Brex(ブレックス)は4億2500万ドル(約460億円)のシリーズDをTiger Globalのリードで完了したことを発表した。

新たな資金はBrexにとってこれまで最大の調達額で、企業価値は直近の民間評価額の2倍以上だった。Crunchbaseのデータによると、Brexは2020年中頃のシリーズCで30億ドル(約3245億3000万円)をわずかに上回る評価額をつけられ、株式発行により1億5000万ドル(約162億3000万円)を調達した。

BrexとRampの資金調達合戦は、彼らのプロダクト・カテゴリーの対象市場がいかに活発であるかを顕著に示すものだ。成長する企業に特典付きコーポレート・カードを提供するだけだったその起源から大きく離れ、Brexと数多くのライバルたち(ユタ州のユニコーンであるDivvyAirbaseなど)は、コアビジネスであるクレジットカードを中心としたソフトウェアスイートを開発し、企業のあらゆる支出管理を支援している。

Brex、Divvy、Rampといったこの分野の最大手がソフトウェアやコンテンツに課金することを控え、収入源を取引手数料などに頼っているのに対し、Airbaseはソフトウェアで収益を得ている。

支出管理スタートアップのユニコーンらによるソフトウェア軍拡競争によって、これまで以上の支出管理スタートアップが現在の収入源に加えてソフトウェア売上を得ようとするとは思えない。いずれの収入も急速に伸びているので、短期的には顧客当たりの売上を増やさなくても顧客数の成長に頼っていられるからだ。

【更新】なんと、私は間違っていた。Brexは別のリリースで(だから当初見逃していた)、新たなサービスとして月額49ドル(約5300円)のBrex Premiumを提供すると発表した。詳しくは後報する予定だが、まずはこの記事を更新したかった。

ちなみにRampは、支出管理で年間予測10億ドル(約1081億8000万円)の売上を計上したことを公表した。この後輩スタートアップの数倍の企業価値をもつBrexは、その上を行くと想像できる。

TechCrunchはBrexに連絡を取り、2020年と2021年第1四半期の成長結果を尋ねた。当社はTechCrunch宛の声明を提供し「毎月数千社のテックおよび非テック顧客を獲得している」と主張した。Brexは第1四半期に「顧客総数」が80%増え、月間新規顧客数が5倍に増えたことも話した。

それこそが、レイトステージ投資家を喜ばせたタイプの成長だ。TechCrunchはBrex CEOのHenrique Dubugras(ヘンリケ・デュブグラス)氏に近々話を聞く予定だ。

カテゴリー:フィンテック
タグ:Brex資金調達Tiger Global

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(文:Alex Wilhelm、翻訳:Nob Takahashi / facebook

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TechCrunch Japan

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