倉庫のストレージ密度を高めるロボットシステムExotecが約383億円を調達

フランスのスタートアップExotec(エグゾテック)は、Goldman Sachs(ゴールドマン・サックス)のGrowth Equity事業がリードするシリーズDラウンドで3億3500万ドル(約383億円)を調達した。これによりExotecの評価額は20億ドル(約2292億円)に達した。

Exotecは、通常の倉庫を部分的に自動化された物流プラットフォームに変えるための完全なエンド・ツー・エンド・ソリューションを販売している。人による作業の一部を代替するハードウェアとソフトウェアのソリューションだ。

83NorthとDell Technologies Capitalも資金調達ラウンドに参加した。Exotecのこれまでの投資家には、Bpifrance、Iris Capital、360 Capital Partners、Breegaが含まれる。BreegaやBpifranceのLarge Venture fund、Iris Capitalなどは2回目の投資となった。

画像クレジット:Exotec

Exotecシステムの主要コンポーネントは、Skypodsと呼ばれるものだ。この目立たないロボットは自律的に床を動き回る。目指している棚に近づくと、棚を登って容器を取り、それを持って降りてくることができる。地上数メートルの場所に商品を保管できるため、倉庫のストレージ密度を高めるのに特に有効だ。

その後、Skypodは人間のオペレーターが容器から正しい製品をピックアップできるよう、容器をピッキングステーションまで運ぶ。そしてロボットは棚に行き、容器を元のところに戻すことができる。

このシナリオでは、人間はもう倉庫内を歩き回る必要はない。ピッキング、パッキング、そして製品の入出庫の確認に集中することができる。新製品、新しい棚、新しいSkypodを追加する場合、Exotecは可能な限り柔軟に対応するよう心がけている。

新しいラックを追加したい場合、もう一度ゼロから始めることなくインフラを拡張することができる。同様に、ExotecではシステムにSkypodを追加することが可能だ。そして、商品の配送を受けるとExotecはここでもSkypodsを頼りにフルフィルメントセンターに商品を保管する。

SkypodsからSkypickersへ

標準化された容器システムにより、Exotecは1つの容器に複数の製品を収納することができる。その容器の中には18個の商品が入っているかもしれないが、顧客はおそらく全部ではなくその中の1個、2個、3個を求めている。Exotecは注文をまとめるために大きな容器の中の小さな容器を単純に空にすることができないのはそのためだ。

Exotecは、注文プロセスのもう1つのステップから人間を排除するために、新しいロボットを作った。Exotecの顧客はSkypickersを使って、在庫の容器から商品を自動的にピックアップし、出荷準備の整った容器に入れることができる。

動作は以下の動画で確認できる。

「現代における最も重大なサプライチェーンの崩壊を受け、イノベーションの余地しか残されていません」と、共同創業者でCEOのRomain Moulin(ロマン・ムーラン)氏は声明で述べた。「ロジスティクス分野全体に不確実性が満ちている中、最も一般的な課題の1つは継続的な労働力不足です。Exotecは新しい道を切り開きます。それは、人とロボットのエレガントなコラボレーションによって、耐久性のある、はるかに持続可能な方法で倉庫の生産性を実現することです」。

Exotecは、自社製品を人間に完全に取って代わることのできないサービスとして常に位置づけている。同社の倉庫は、人間とロボットの組み合わせで運営されている。しかし、Skypickersのおかげで同社は厳しい労働市場においてロジスティクスで優位性を持っている。

今回の資金調達で、同社は2025年までにエンジニア500人を雇用し、引き続き北米事業を推進する予定だ。最近、GapやGeodisなど北米地域の大口顧客8社と契約した。DecathlonもモントリオールのフルフィルメントセンターでExotecを使用している。

画像クレジット:Exotec

原文へ

(文:Romain Dillet、翻訳:Nariko Mizoguchi

投稿者:

TechCrunch Japan

TechCrunchは2005年にシリコンバレーでスタートし、スタートアップ企業の紹介やインターネットの新しいプロダクトのレビュー、そして業界の重要なニュースを扱うテクノロジーメディアとして成長してきました。現在、米国を始め、欧州、アジア地域のテクノロジー業界の話題をカバーしています。そして、米国では2010年9月に世界的なオンラインメディア企業のAOLの傘下となりその運営が続けられています。 日本では2006年6月から翻訳版となるTechCrunch Japanが産声を上げてスタートしています。その後、日本でのオリジナル記事の投稿やイベントなどを開催しています。なお、TechCrunch Japanも2011年4月1日より米国と同様に米AOLの日本法人AOLオンライン・ジャパンにより運営されています。