個人投資家が社会や環境への影響に基づいて金融投資アプリTickrが約3.6億円調達

英国の消費者が社会や環境への影響に基づいて金融投資することができるアプリTickrは、インパクトのあるスタートアップに特化したVCであるAda Venturesが主導した資金調達ラウンドにて250万ポンド(約3億6000万円)を獲得した。調達した資金は製品開発、ユーザーベースの拡大、最終的にはTickrを英国の拠点から他のヨーロッパ諸国へと拡大するために使われる。

同プラットフォームでは投資だけでなく、顧客はインパクトを重視した影響の比較とパートナーシップを通じて現金を使い、サブスクリプションを通じて二酸化炭素排出量を相殺することができる。主なビジネスモデルは、顧客1人当たり1ポンドp/m、資産が3000ポンド(約43万4000円)を超える場合は0.30%の手数料を支払うことだ。またカーボンオフセットなどの追加商品は、選択したレイヤーに応じた追加サブスクリプションとして課金される。

同スタートアップによると英国では10万ユーザーに近づき、そのうち90%が「これまで投資をしたことがない」ミレニアル世代のユーザーであり、これらのユーザーは平均して毎月250ポンド(約3万6000円)を投資しているという。

アプリ「Tickr」

これは取引を目的としたアプリではなく、インパクトのある企業のポートフォリオに投資しながら富を築くことを目的としている。競合他社にはMoneyBoxがあるが、Tickrは「インパクト企業だけに100%焦点を当てている」としている。ヨーロッパの人々の大半は市場への投資を行わないため、この製品にとって良い機会となるだろう。

創業者のTom McGillycuddy(トム・マクギリーカディ)氏とMatt Latham(マット・レイサム)氏は8年間投資運用の仕事に関わってきたが、専門用語や高額な手数料、環境問題などへの無関心さに幻滅したという。

テキストインタビューで、マクギリーカディ氏は次のように語っている。「私たちは、人々が行っていた投資の根本的な影響について考慮していないことに気づきました。ウィガンとリバプール出身の私たちは家族の中で初めてこの世界に触れましたが、それが正しいとは思えませんでした」。2人はインパクト投資の分野に進出し、2018年にTickrをローンチした。

カテゴリー:EnviroTech
タグ:Tickr二酸化炭素排出量

画像クレジット:Tickr

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(文:Mike Butcher、翻訳:塚本直樹 / Twitter

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TechCrunch Japan

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