偽再生ボタン表示するとFacebookの表示ランクが下がる――クリックベイト対策、また一歩前進

Facebookのニュースフィードを見ていて偽の再生ボタンをクリックしてしまったことはないだろうか? このボタンはビデオを再生せず、別のサイトを開くリンクが隠されている。私は何度も引っかかった。そこで2014年にFacebookは、偽再生ボタン付きリンク画像を禁止せよという記事を書いたぐらいだ。

今になってやっとFacebook手を打ち始めたようだ。今日(米国時間8/17)、Facebookはニュースフィードの表示アルゴリズムを変更し、プレビューに偽のプレイボタンを表示したり、静止画であるのにビデオのように見せかけてファイルをアップロードするサイトのランクを大幅に下げることとした。こうした手口でトラフィックを稼いでいたパブリッシャーは大打撃を受けることになるだろう。ただしFacebookはこうした投稿を完全に削除することはしない(他の重大な約款違反がないかぎり)。

以下はスパマーがクリックベイトのためによく使う偽再生ボタンの例だ。

Facebookは広告で偽のプレイボタンを表示することを禁止している。ニュースフィードのプロダクト・マネージャー、Greg Marraは私のインタビューに対して「これは存在しない機能を表示することを禁止した広告約款の違反を理由とするもので、数年前に制定された」と話した。しかし広告以外のニュースフィードには偽プレイボタンがはびこるままだった。

「その後ユーザーから偽のプレイボタンに対する苦情が寄せられた」とMarraは付け加えた。 そこで今日のアップデートとなったわけだ。スパマーがクリック稼ぎに使うこうした偽プレイボタンや偽ビデオを発見、分類するために.Facebookでは人工知能による機械視覚を訓練しているという。【略】

Facebookによれば、パブリッシャーがリンク先にビデオが存在することを正規に示したい場合は、Open Graphメタタグを利用すべきだとしている。またパブリッシャーはタイトルやキャプションにWatchないしVideoと表示してもよい。

ニュースフィードにおけるフェイク再生ボタンを表示したプレビューの例(左)。ユーザーがビデオを再生するつもりでクリックすると広告満載のページに飛ばされる(右)。

Facebookはこれまでも。CGで秒数を表示するなどの細工をして録画ビデオを繰り返し再生しているのにライブ中継と偽ったりするような悪質な広告主に悩まされてきた。TechCrunchではこの1月にFacebookに対して、こうした連中を退治するよう勧めたところ、5月になって取り締まりが実施された。

その後Facebookではパブリッシャーがページビューを稼ぐために静止画をビデオに見せかけて投稿する新たな手口に対応を迫られていた。 今回のアップデートでこうした投稿の表示ランクは大きく下げられる。Facebookでは人工知能による「モーション・スコアリング」でクリップ画面内の動きを検知し、ランク付けするとしている。

今日のアップデートはページビュー稼ぎのクリックベイトに対する大掛かりな取り締まりの一環をなす。 Facebookでは偽ビデオの他に、誤解を招くタイトルや重要な情報を隠した投稿の規制をさらに多数の言語に拡大している。またスパマーが好んで拡散する中身のないリンクフェイクニュース も表示ランクを下げられる。またFacebookでは疑わしいニュースについては別の立場からのニュースにリンクしてユーザーがクリックベイトに釣られることを防ごうとしている。【略】

こうした不愉快で苛立たしい投稿をニュースフィードから追放すればユーザーは正常なコンテンツに集中することが可能になる。これにより滞在時間やビデオの再生回数などのエンゲージメントが増大することが期待される。つまりはFacebookのビジネスにとって有益となるわけだ。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

投稿者:

TechCrunch Japan

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