元楽天トラベル社長が次に手がけるのは、不動産の顧客分析サービス

Cocoliveは5月19日、不動産会社向け顧客分析&可視化サービス「KASIKA」の提供を開始すると発表した。

また、Cocoliveは同日、アジアを中心としたオンライン旅行事業などを手がけるエボラブルアジア、旅行比較サイト「Travel.co.jp」などを運営するベンチャーリパブリック、その他個人投資家から総額5100万円の資金調達を実施したことも併せて発表している。

Cocoliveが手がけるKASIKAは、住まいを探す顧客の潜在ニーズをリアルタイムに可視化するサービスだ。

KASIKAでは、自社Webサイトを閲覧している顧客の行動(物件検索、提案メールの開封など)を検出し、その内容をユーザーにリアルタイムでアラートする。このアラートには、顧客の情報、Webサイトの閲覧日時、メール開封日時、閲覧物件、滞在時間、顧客が希望する地域や価格帯などの情報が記載されている。

KASIKA(可視化)という名前からも分かる通り、同サービスには顧客の潜在ニーズを分かりやすい形でユーザーに届ける機能も備わっている。顧客が閲覧した物件ページ、滞在時間、流入経路などのデータに基づいて潜在ニーズを分析し、それをグラフやランキング(閲覧回数ランキングなど)を利用して可視化する。また、ページの滞在時間の長さに応じて物件情報の背景色を変化させる”ヒートマップ”のような機能もある。

KASIKAには、取得した情報をユーザーに見せるだけでなく、そこから顧客の生活パターンを予測する機能もある。顧客が物件を探すことが多い曜日、時間、デバイスなどからその人の生活パターンを予測するのだ。これにより、最適な営業タイミングをある程度把握することができるだろう。

KASIKAは既存のWebサイトにタグを埋め込むだけで簡単に導入できる。初期費用もかからない。月額利用料はユーザー(社員)1人あたり9800円だ。

Cocolive代表の山本考伸氏

今回の資金調達にあたり、Cocoliveの創業者兼代表取締役である山本考伸氏は、「この度の資金調達により、データの力で不動産会社が直面する課題を解決すべく、お客さまの活動データから本当に欲しい住まいの条件・提案を受けたいタイミングを分析するシステムの開発を加速してまいります」とコメントしている。

創業者の山本氏は、2006年にエクスペディアに入社後、プロダクト責任者として日本語サービス「expedia.co.jp」の立ち上げに関わった。その後の2008年にはトリップアドバイザーの代表取締役に就任し、同じく日本語サービスの「tripadvisor.jp」を立ち上げるなど、これまでにも新サービスの創出に多く携わっている。

その後、山本氏は2013年に楽天に入社。楽天トラベルの代表取締役を務めた後、2017年にCocoliveを創業した。

今回の調達ラウンドに参加したエボラブルアジア(山本氏は2017年4月1日付で同社の社外アドバイザーに就任している)とベンチャーリパブリックは、両社ともに旅行関連ビジネスを展開している。これまで旅行業界に深く関わってきた山本氏ならではの投資家リストだとも言えるだろう。

エボラブルアジアは出資に際するリリースの中で、「この資本参画は当社の投資事業の一環での取り組みであり、同社の今後の成長によるリターンを期待しております」とコメントしており、今回の出資は事業シナジーを狙うような戦略的な意味合いを持ったものではないようだ。

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TechCrunch Japan

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