先週のUS注目記事 ー USBポートに刺さる名刺/ SiriがMacにやってくる?他

USB名刺って何?


デジタル時代になっても紙の名刺はまだまだ幅を利かせている。むしろ珍しさから人より目立って有利かもしれない。

しかし、名刺に書かれた情報を入力するのは面倒だ。そのために、QRコードを印刷したり、CardMunchなどのスキャンシステムも数多く登場している。

そしてここに、第3の方法が現れた。SwivelCardは紙の名刺でありながら、特殊な印刷と穿孔技術によって、USBポートに差し込んで特定のウェブページに飛ばすことができる。

金属インクで印刷し、小さなチップを紙の中に埋め込むことによってUSBドライブになるそうだ。USBポートの使えない人のために、QRコードも印刷されている、というのはともかくとして、NFC(近距離無線通信)まで埋め込まれているというから驚きだ。

現在SwivelCardはまだプロトタイプで、Kickstarterで資金募集中。気になるお値段は、200枚で289ドルとのこと。目標金額1万ドルのところ、すでに6万ドル以上集まっている。

個人的には名刺として使うことはなさそうだが、それ以外に有効な使い方がみつかるかもしれない。

B&NがGoogleと組んでAmazonに対抗か

今や世界中の書店の敵ともいえる強大な力となっているAmazonに、書店大手のBarnes & Nobleが対抗する ー Googleと共に

この試験的プログラムでは、Googleの即日配達サービス、Google Shopping Expressと、Barnes & Nobleの実小売店舗が手を組むもので、ニューヨークのマンハッタンとサンフランシスコのベイエリアで行われる。Googleは、Shopping Expressの料金として1件4.99ドルあるいは年間購読料(金額未定)を受け取る。ターゲットとしては、その日に手に入れたいが、出かけていくほどではない、というケースの客を想定している。

Barnes & Nobleは、過去5年間に60店舗以上を閉鎖しており、これは実店舗販売からオンライン販売への移行を試すものなのかもしれない。

Googleにとっては、新しい配達サービスの経済性を大規模にテストできる好機だが、不調の書店が昔の勢いを取り戻すことにはなりそうもない。

SiriがMacにやってくる?


Appleが米国特許商標局(USPTO)に提出した資料によると、iPhoneでおなじみの音声アシスタント、Siriのデスクトップ版がいずれ出てくるかもしれない。

以前からSiriのMac版を期待する声は多いが、現在Mac OSXで使えるのは音声テキスト変換くらいだ。

さて、デスクトップでSiriを使いたいのはどんな場面か。積極的にSiriを立ち上げるというよりも、iOS 8で可能になるように「Hey, Siri」と呼べば使えるボイスアクティベーションが採用される可能性が高い。

例えば、マウスの位置によって音声コマンドの対象を判断して、マウスが写真の上にあれば、コピー命令をそこに適用する。ファイルのドラッグアンドドロップにも使えるかもしれない。

特許資料には、「第3の手」としての使い方が書かれているそうだ。確かに、マウスやキーボードで操作しているとき、「もうひとつ手があれば」と思う場面はある。右クリックやショットカットキーで「コピー」する代わりに、「コピー」と言うだけでよくなれば、ちょっと便利そうだ。

自分に関するあらゆるデータをトラックしてネットで公開している男

原文:This Guy Tracks Everything About Himself And Puts It Up Online For Everyone To See

ソフトウェア開発者でデザイナーのAnand Sharmaは、今年3月から自分に関するあらゆる情報を追跡している。自転車や歩行、飛行機などで移動した距離から、GitHubでコミットした回数やInstagramにアップロードした数まで。

そして、しばらくして彼はAprilzeroというサイトを立ち上げ、あらゆる自分のデータを公開しはじめた。集めているデータは以下のとおり。

■毎日集めている健康データ
・歩数
・走った距離、地図
・ロッククライミング
・心拍数
・体重
・体脂肪率
・血圧

■毎日集めている行動データ
・Githubコミット(ファイル数、変更コード行数、メッセージ)
・Instagramの写真
・ツイート

■集めているが、まだ公開していないデータ
・パソコンやスマホでやったこと(訪問先ウェブサイト、読んだメールの数、返信数、PhotoShopでやったこと等々)
・睡眠
・飲食
・気分
・スキューバダイビング(場所、深度、見た生物等々)

どうしてこんなことをするのか尋ねられた彼はこう答えた。
「自分の行動が追跡されて世界に向けて公開されていると分かっていることは、面白いことをしたり、一生懸命やろうとする大きな動機付けになる。・・・」

確かに、体重を記録するだけでダイエットに成功した人もいるのだから、それを公開していれば、やる気になるのかもしれない。

記事中の画像によると、2014年7月14日に彼は「博多一風堂」にいたらしい。また、記事が書かれた8月7日には東京のパークハイアットにいたとサイトには表示されている。

Wikipedia Bitcoinで多額の寄付を集める

原文:Wikipedia Picks Up $140,000 In Bitcoin Donations In One Week

Wikipediaが時折大々的に寄付を募っていることはご存知だろう。文句を言う人もいるようだが、あれだけの情報を広告もなしに使えるのだから、少々寄付金をだしてもいいと私は思っている(寄付した後も別のパソコンでは催促されるのは少し残念だが)。

さて、7月末にWikipediaは、Bitcoinによる募金支払いを受け付けると発表した。この暗号化通貨を取り扱うサービスのCoinbaseによると、Wikipediaは、Bitcoin受付開始から1週間で14万ドル相当の募金を集めた。

Wikipediaの運営母体であるWikimedia Foundationは、Bitcoinそのものを保持することはせず、募金された時点でドルに換金している。昨年の募金総額は1870万ドルだったので、14 万ドルはその1%に満たないが、1週間で1%が積み上がれば大きい ー ただし、Bitcoinによる募金が続けば。

ところで、最近Bitcoinのニュースは少ない。価格が予測範囲内で安定し、利用料も増えていないため、話題がないからだ。

今回の募金活動によってBitcoinに大きな変化が起きることはなさそうだが、Wikipediaにとって嬉しいニュースであることは間違いない。

Facebookに対する集団訴訟、一週間で満席


原文:Facebook Data Privacy Class Action Now Oversubscribed

Facebookに対するヨーロッパのプライバシー集団訴訟が1万1000人を集めた[日本語記事]というニュースの後まもなく、集団訴訟の参加定員2万5000人の枠がいっぱいになった。公募からわずか一週間のことだ。参加申し込みのためには、Facebookアカウントを持っていることの他、住所、氏名、さらにはそれを証明するためのパスポートのコピーなど、それなりの手間が必要だが、勝訴すれば1人あたり500ユーロの賠償金が支払われ、負担するリスクもない。

人数に上限を設けた理由について、訴訟責任者であるMax Schremsは、「手間がかかりすぎないため」としている。何らかの理由で(法定でいい気分になる、思っていたより手間がかからない、2万5000人の後で処理能力が増えた、等々)増やすことができればそうする、と彼は言っている。

損害額は一人あたり500ユーロと「意図的に低く抑えられている」が、2万5000人ともなれば、勝訴した場合のFacebookの支払総額は、1250万ユーロ(約17億円)になる。

訴訟の詳細については、上記日本語記事を参照されたい。

医者は、患者が集めた健康データに関心があるか?


原文:When Wearable Health Trackers Meet Your Doctor

毎日のように新しいウェアラブル健康機器が登場し、世界には健康関連データがあふれている。

しかし、現場の医者たちはこうしたデータを使うのたろうか? ロンドンのmyHealthcareクリニックの共同ファウンダーで医師のDr. Dush Gunasekaraは、ウェアラブル健康機器が医者と患者の協力を促進し、よりよい治療結果を生むことを期待している。

Gunasekara医師は、医療従事者がウェアラブル健康機器を信頼するためのポイントをいくつかあげている。
・精度は大きな問題
・医師自身の訓練が必要
・プライバシー
・データを使う理由が増えれば、もっと使われるようになる

上のグラフは、ウェアラブル機器の所有者の中で、フィットネスバンド、スマートウォッチ、モバイル健康機器、それぞれを持っている人の割合を示している。現在のスマートウォッチの普及度を踏まえれば、どれも大きな数字ではない。

Nob Takahashi / facebook


投稿者:

TechCrunch Japan

TechCrunchは2005年にシリコンバレーでスタートし、スタートアップ企業の紹介やインターネットの新しいプロダクトのレビュー、そして業界の重要なニュースを扱うテクノロジーメディアとして成長してきました。現在、米国を始め、欧州、アジア地域のテクノロジー業界の話題をカバーしています。そして、米国では2010年9月に世界的なオンラインメディア企業のAOLの傘下となりその運営が続けられています。 日本では2006年6月から翻訳版となるTechCrunch Japanが産声を上げてスタートしています。その後、日本でのオリジナル記事の投稿やイベントなどを開催しています。なお、TechCrunch Japanも2011年4月1日より米国と同様に米AOLの日本法人AOLオンライン・ジャパンにより運営されています。