全医療データの統合を目指すサンフランシスコ拠点のスタートアップInnovaccer

医療分野で働くテクノロジー企業にとって至高の目標は、全医療データのゲートウェイになることだ。EpicやCernerといった伝統的データプロバイダーは、病院ネットワークにアプローチしてデータをかき集めようと試みている。Google(グーグル)やSalesforce(セールスフォース)も関心を持っている。誰もが医者や病院のための医療データの整備と管理の元締めになりたがっているのだ。米国サンフランシスコのスタートアップで最近7000万ドル(約76億8700万円)を調達したInnovaccer(イノベッカー)もその1つ。

今回出資したのは、Steadview Capital、Tiger Global、Dragoneer、Westbridge Capital、アプダビの投資会社であるMubadala Capital、Microsoft(マイクロソフト)の投資部門であるM12。いずれも資金力がある投資家だが、Innovaccerは病院や医療システムの分野でデータ分析とデータ管理プラットフォームでかなりの実績を上げている。

同社のソフトウェアは、CernerとEpicが生成した医療記録や保険会社、薬局などのデータを集約し、より総合的な患者情報を作りだすと同社は説明する。同社によると、2014年の創立以来、Innovaccerは380万人の患者の医療情報を提供し、医療管理システムの費用を4億ドル以上節約してきたとのこと。

「医療を患者中心にし、情報を整理しアクセスしやすくするためにはやるべきことがまだたくさんある。受診プロセス全体を通じて、患者のデータをシームレスに利用できるようにすることが重要だ」とInnovaccerの共同創業者でCEOのAbhinav Shashank(アビナフ・シャシャン)氏が声明で語ってる。「Innovaccerは素晴らしい顧客が関わっているデータの共用が可能な医療情報システムを利用できる幸運に恵まれた。医療業務を手助けするためのビジョンには、オープンでつながっているテクノロジーのフレームワークが必要だ。我々は、その変革を推進する顧客たちにテクノロジープラットフォームを提供する最先端で働けることを大いに喜んでいる」。

同社のテクノロジーは、200以上のAPIを通じて、健康保険、初期治療提供者、薬局、研究所、病院などからデータを集め、それを2万5000カ所の医療機関に提供している。この数値を今後数年のうちに、医療記録1億件以上、医療機関50万カ所以上へと増やすことが望みだ。壮大なゴールだが、それは25億ドルのヘッジファンドであるSeadview Capitalの創業者であるRavi Mehta(ラビ・メタ)氏の心に訴えるものだった。

「つながっているケアフレームワークと、最先端のデータ集約・分析プラットフォームを組み合わせることによって、彼らは患者記録を統合し、医療チームが患者治療の新しいレベルを達成できるようにした」とメタ氏は言った。「我々は,これによって最大限の効率が得られ、よりよい治療が可能になり、将来の医療費全体の削減に役立つと信じている」。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

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TechCrunch Japan

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