共有モビリティのLimeが10km先にも行けるペダルつきの電動バイク「モペッド」導入を発表

Lime(ライム)が、そのマイクロモビリティプラットフォームに、同社のシグネチャーグリーンに塗られた電動モペッド(ペダルつきのバイク)を追加し始めている。近所の商店へのちょっとした買い物から、10kmほど離れた比較的遠い場所への移動まで、都市部における移動手段を拡大することが狙いだ。

Limeは米国時間1月27日、この春に600台もの電動モペッドをワシントンD.C.で導入すると発表した。同社はパリでも自治体と協力してこの電動モペッドの試験的運用に取り組んでいる。最終的には、今後数カ月の間に「いくつかの都市」で提供される予定だ。

中国の電動バイクメーカーのNiu(ニウ)から提供されるこのモペッドは、2名乗車できるように設計されている。ヘルメットが入るコンパーメントには赤外線カメラのようなテクノロジーが装備されており、走行中に使用されているかどうかを検知する。これは正しく使用し安全を高めるための取り組みで、ヘルメットを常に着用することなどのLimeのポリシーに繰り返し違反した場合は、プラットフォームから追い出される。乗車開始時にはヘルメットを被り、その様子を自撮りしなければならない。

このヘルメットは、米国ではMoon(ムーン)、欧州ではNikko(ニッコー)から供給される。

モペッドの最高速度は45km/hで、1回の充電で140kmの距離を走行可能だ。Limeのスクーターは、ギグエコノミーの労働者が収集と充電を行い、街中に再配備することでお金を稼ぐことができるが、モペッドは交換可能なバッテリーを採用しており、Limeの正社員たちが維持管理を行う。

モペッドが以前からLimeの長期計画に含まれていたかどうかは不明だが、同社の新しいモビリティの責任者は、電動化された都市交通の将来に何を導入することができるか、同社は常に考えているとTechCrunchに語った。

「会社として成長していく中で、我々はユーザーが求めているもの、つまりより遠くへの移動をフォローする必要があると理解しました」と、LImeのニューモビリティの責任者を務めるSean Arroyo(ショーン・アロヨ)氏は語る。「いつでも、どこでも、どんな移動にも対応できる能力は、当社の基盤にあるものです。実際に我々のユーザーがこの方向性を示してくれたのです」。

LimeのCEOであるWayne Ting(ウェイン・ティン)氏は2020年末、スクーターやバイクを超えた「第3の交通手段」が、2021年の第1四半期に計画されていることを初めてほのめかした。同時に、サードパーティーの企業が同社のプラットフォームに加わることも示していた。

Limeは2020年、同社のアプリにWheelsブランドの電動バイクを取り入れることも開始した。ティン氏は当時、ユーザーはこのようなパートナーシップに期待してもよいと述べていた。

モペッドへの事業拡大は、Limeが新型コロナウイルスに汚染された暗い時代をなんとか乗り切ったという表れだ。同社は2020年4月に一連のレイオフを実施し、翌月にはUberから投資を受けることで、評価額は10億ドル(約1047億円)を割った。新型コロナウイルス感染が起きた初期の1カ月間、Limeはほとんどの業務を停止した。

しかし、同社はそれ以降、回復した。ティン氏は2020念11月に、同社が第3四半期に営業キャッシュフローの黒字とフリーキャッシュフローの黒字の両方を達成し、2021年には特定のコストを除き(EBIT)、通年黒字になるペースであると語った。同社また、モペッドに進出するのに十分な現金、またはそのためのアクセスを持っていた。

問題は「より多くのモードが進行中なのか」ということだ。

アロヨ氏は具体的なことは言わなかったが、より多くのモードが登場することは確かなようだ。

「2021年はモードだけでなく、オプション性も含めて、当社が本当に拡大していくのをご覧いただけると思います」と、アロヨ氏は述べている。「我々にとって、すべての移動に利用できるプラットフォームを持つことが何より重要です。また、利用者にとって合理的なオプションを提供できるようにしたいと考えています。共有モビリティは事業の巨大な要素ですが、その中には様々なレベルの共有できるモビリティがあります。2021年を通して、我々のモードが拡大するにつれて、かなり多くの異なるオプションを提供することになると思います」。

カテゴリー:モビリティ
タグ:Lime電動バイク電動自転車

画像クレジット:Lime

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(文:Kirsten Korosec、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

投稿者:

TechCrunch Japan

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