共有受信メールボックスのFrontがより深いCRM統合を備えた顧客中心の機能を導入へ

カスタマーコミュニケーションプラットフォームのFront(フロント)が、米国時間9月15日、3つの新機能を紹介するイベントを開催する。これらの新機能は、Frontのユーザーインターフェイスから直接顧客に関するより多くの情報を表示することに重点を置いている。

Frontをご存知ない方のために説明すると、同社は、チームとして受信メールを操作できるようにする「共有メール受信ボックスプロダクト」の会社としてスタートした。例えば企業がsupport@companyname.com、sales@companyname.com、jobs@companyname.comなどのメーリングリストを使っている場合、複数のチームメンバーがFrontを使って受信メールを見ることができる。

返信する前に、そのメールを特定のチームメンバーに割り当てて会話の優先順位付けをしたり、コメントセクションで現在の会話について話し合ったり、送信する前にメールの下書きを他のメンバーに見せたりすることができる。

時間が経つうちに、Frontはより多くの通信チャネルを統合するように進化してきた。いまでは、SMSでのメッセージ交換、ウェブサイト上での顧客とのライブチャット、Facebook(フェイスブック)メッセージなどにFrontを使用することができる。同社はまた、より強力な機能でも製品を改良してきた。

例えば簡単な「if this then that」(もし…だったら…する)ルールを使用してワークフローを自動化するルールを設定することができる。これは、作業を複数のチームメンバーに分配し、適切な人が受信メッセージをできるだけ早く確認できるようにするための良い方法だ。

米国時間9月15日に同社が発表する新しい機能は、営業、サポート、カスタマーサクセスチームなどの、より大きな顧客とやり取りするチームに特に役立つ機能だ。まず第一に、Frontのユーザーは、受信トレイからやり取りしている顧客について直接詳しく知ることができるようになる。

新しくなったコンテキストパネルは、クライアントのために複数のメンバーがやりとりして対処しているチームにとって、より役立つものになる。誰か特定の人の過去の会話を表示する代わりに、このクライアントのために働いているすべての人の過去の会話を表示することができる。

Frontは、Salesforce(セールスフォース)やHubSpot(ハブスポット)などのCRMとすでに統合されている。今回の新機能で、データをコンテキストパネルに簡単に取り込むことができるようになった。アカウント所有者の名前、顧客セグメント、およびこの顧客とのSLA(サービスレベル契約)コミットメントを確認できる。

画像クレジット:Front

次に、FrontはCRMとの緊密な統合による、新しい自動ルーティング機能を追加している。例えばCRM上でアカウント所有者の名前を見つけて、受信するメールをそのアカウント所有者に直接割り当てることができる。

もしSalesforce上でアカウント所有者が変更された場合には、Front内のルールも自動的に更新される。重要な顧客からメッセージを受信した場合には、CRMから年間収益データを取得し同時にVIPタグを設定することもできる。

画像クレジット:Front

最後に、Frontはまもなく分析ページをアップグレードする。例えば特定のアカウントに対するチームのパフォーマンスを追跡し、それをSLAと比較することができるようになる。

これらのアップデートは、Frontを、高額B2B契約を結んでいる大企業のクライアントに対して、より適切に機能するツールとして位置付けることになるだろう。現在のFrontの顧客には、Shopify(ショッピファイ)、Dropbox(ドロップボックス)、Flexport(フレックスポート)、Checkout.com(チェックアウト・ドット・コム)、Lydia(リディア)、Airbnb(エアービーアンドビー)などが並んでいる。

画像クレジット:Front

画像クレジット:Mark König/Unsplash

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(文:Romain Dillet、翻訳:sako)

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TechCrunch Japan

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