写真を自動的にカテゴリー分類してくれるImpala, 無料iPhoneアプリとしてローンチ

【抄訳】

最新のiPhoneアプリImpalaは、写真のカテゴリー分類を自動的に行う処理でEverpixがやり残したようなことをやってくれる。iPhone上のすべての写真を”アウトドア”、”建物”、”食べ物”、”パーティー”、”友だち”、日没”などなどのカテゴリーに自動的に分類してくれる*のだが、Everpixと違ってサーバを使わない。写真を分類するソフトは完全にユーザのデバイス上で動く。〔*: カテゴリー名は、outdoor、foodなど英語。〕

ただし、いろんなことができるEverpixと違ってImpalaのやることは写真の分類だけだ。でも、その分類能力はただ者ではない。私のiPhoneには数千枚の写真があるが、20分そこそこで分類を終え、カテゴリー名をタイトルとするアルバムに収めた。中には、不正確な分類もある。たとえば“食べ物”や“ビーチ”の写真は正確に集めるし、“男”と“女”と“子ども”もちゃんと見分けるが、ビーチの写真なのに“山”へ行ったり、私の犬の写真が“猫”へ行ったりした。

でも、後者の例は、そう設計したからだ、とImpalaの作者で親会社Euvision TechnologiesのCEO Harro Stokmanは笑いながら言った。“ぼくたちは犬が好きじゃないんだ”、と彼は言う。

同社としては、今の形のアプリを本格的にビジネスにするつもりはない。むしろそれは、同社のソフトウェア技術のサンプルのつもりだ。そして本来のビジネスは、その技術のライセンスの販売だ。たとえばオランダの警察や、大手ソーシャルメディアサイトが、この技術を利用している。警察は、児童虐待の写真を見つけるためだ。

Stokmanによると、Euvision Technologiesは、彼がコンピュータビジョンで博士号を取ったアムステルダム大学のスピンオフで、Impalaを可能にした技術は10年あまりの研究開発の成果だ。Euvisionの8名のチームも、全員が大学の研究員だ。同社の株の15%を、大学が保有している。

【中略】

Stokman曰く、モバイルバージョンは同社のコアプロダクトほど正確ではないが、 しかしそれでも技術的にはとても高度だ。“VCの支援はないので、帯域や計算力でぜいたくはできない”。そこで最初からクラウドを放棄し、ネイティブのモバイルアプリに集中したのだ。“モバイルの上で十分に実用性のあるもの、これを絶対条件とした”。

しかしそもそも、Everpixが写真のストレージと共有プラットホームを今週閉鎖したのも、そんなことを無料サービスとしてAmazon Web Servicesの上でやると、ものすごく高くつくからだ。とても続けられない、と判明した。

Impalaは最初から、クラウドという考えを捨てている。代わりに、最初は600MBあったソフトを100MB以下にすることに精力を注いだ。“それぞれのカテゴリーのモデルを置くために膨大なメモリを必要とするが、そこをぎりぎりまで削ぎ落とした”、とStokmanは説明した。

Impalaのシステムは、Webの上などにある何千もの画像を使って訓練されている。その結果として今では、“日没らしさ”と“室内らしさ”を見分けられるようになっている。しかしそれをモバイルに乗せるために、分類エンジンをかなり簡素化しなければならなかった。Stokmanによると、Impalaをサーバ上で動かすとモバイルバージョンの4倍のメモリとコンピューティングパワーを必要とする。“コンピュータが強力で使えるメモリが多ければ多いほど、カテゴリー分類はより正確になる”。

iPhone上でImpalaが行う自動的カテゴリー分類が、ときどき不正確になるのは、そのためだ。そこで各カテゴリーのアルバムには“不確か”という部分がある。その不確か部分の写真を、手作業で正しいアルバムに移したり、今の分類でOKよ、と言うためのユーザインタフェイスは、現バージョンでは提供されていない。

犬が猫に分類されたことについては、ジョークっぽく、“チームは全員、猫好き人間で、犬が嫌いだから、犬(dogs)というカテゴリーを作らなかった”、と言われた。でも、もしもこのアプリの人気が沸騰したら、将来のアップデート項目の一つとして、dogsカテゴリーを当然置くでしょう。ただし今チームが取り組んでいるのは、写真を撮ったらすぐに、そこに写っている「物」を認識するアプリだ。今それは、サングラス、キーボードなど、およそ1000種類の物を判定できる。このアプリもいずれは、Impalaに統合される予定だ。

iOS用のImpalaはここで無料でダウンロードできる。

アムステルダムのEuvision TechnologiesはProf. Arnold Smeulders教授らによって創業され、StokmanとChief Commercial OfficerのJan Willem F. Klerkxなど“身内”が投資している。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))