分散型料理動画メディア「もぐー」運営のスタートアウツ、億単位の資金調達

エブリーの「DELISH KITCHEN」、delyの「Kurashiru Food」、そして7月にローンチしたBuzzFeedの「Tasty Japan」など、この数カ月でなにかと話題を振りまいている分散型の料理動画メディア。今回もそんな分散型動画メディアを運営するスタートアップの資金調達発表のニュースだ。分散型動画メディア「もぐー」を運営するスタートアウツは7月29日、環境エネルギー投資、アドウェイズ、みずほキャピタル、山田進太郎氏(メルカリ代表取締役社長)、East Venturesを引受先とした第三者割当増資を実施したことを明らかにした。調達額や出資比率は非公開。ただし関係者によると、調達額は数億円規模と見られる。

バイラルメディアからのピボット

スタートアウツ代表取締役の板本拓也氏

スタートアウツ代表取締役の板本拓也氏

スタートアウツは2013年の設立。代表取締役の板本拓也氏は「中学生の頃から起業をしたいという思いがあった」と語る。大阪大学の学生だった2013年の春、Twitterを通じてEast Ventures(EV)パートナーの衛藤バタラ氏と交流したことを契機に、いよいよ起業することになる。

「そこから上京して、シェアハウスで生活しつつサービスの開発を始めました」(板本氏)

会社を設立したのは2013年3月。当時、East Venturesの出資先の多くは六本木一丁目のとあるビルに集まっていた。メルカリ、BASE、CAMPFIREなどなど。創業期の各社を横目に見つつ1人で開発を続けた。

いくつかサービスを立ち上げてはピボットしたが、2013年12月には動画のバイラルメディア「Whats」をローンチした。サービスを1年運営してユーザー数は伸びていたが、ビジネスとしての成功は難しい状況だった。次のプランを考える中でたどり着いたのが分散型の料理動画メディア、もぐーだった。

「もともと動画まわりのビジネスに興味があったんですが、Whatsではコンテンツを自社で持っていいなかったし、メディアのコンセプトも薄かった。これがはっきりしないとユーザーが付いて来ないことに気付いていませんでした」

「ただ個人的な思いとして、コンシューマー向けのサービスしかやりたくなかった。例えば人々の生活のベースになるようなもの。料理や食ならば、普通は1日3回接触する、『ジャンル自体』にファンの居る領域だと考えました」

ターゲットは主婦層、今後はリアルイベントも

スタートアウツでは現在、Facebookのほか、TwitterやInstagram、YouTubeでそれぞれ1日2本程度、プラットフォームごとに最適な長さに編集(例えばTwitterは尺短め、Facebookは長めだそう)した動画を配信している。動画で重視しているのは「動画を観るだけで料理が作れるかどうか」だという。「エンターテインメントとしてすごい動画もあります。でももぐーのターゲットは実際に料理を作る主婦です」(板本氏)

競合サービス同様、すでにクライアント企業とタイアップ動画の制作にも取り組んでいる。「価格設定は競合よりも安価。今はマネタイズのフェーズというよりは、付き合うクライアントを増やして、ニーズを聞く機会を作るフェーズ」(板本氏)。また競合差別化施策の一環として、料理教室を開催したりもしている。今後は動画制作だけでなく、こういったリアルイベントなども行っていく予定だ。

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TechCrunch Japan

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