初めての一般消費者向け3Dプリンタを目指すZimがKickstarterの資金募集で好調

3Dプリンタの市場は、これから先急成長するようだ。3Dプリントの魅力が一般に知れ渡り、“メーカー”呼ばれる人たちやホビイスト、それに本誌のJohn Biggsのような人たちの専有品ではなくなり、一般消費者や企業ユーザが気軽に手を出せるものになってきた。でも3Dプリンタがその広い市場に入っていくためには、使いやすさが重要だ。そこらのおじさんおばさんたちを、びびらせない雰囲気も必要。

消費者向けを意識した製品の例が、タッチ画面で操作するZeusのオールインワンコピー機で、今Kickstarterで資金を募集している。そして今回ご紹介する自称“消費者指向の3Dプリンタ”は、そこら中にプラスチック原液を吐き散らかすようには見えないプリンタを売り出すべく、同じくクラウドファンディングを求めている。そのZimと呼ばれる製品は、Zeusと違って機能は3Dプリントだけだ。3Dオブジェクトブのためのスキャナーやコピー機能はない。でも一般大衆に新しい技術を売り込むためには、できるだけシンプルであるべきかもしれない。

“今売られている3Dプリンタは、かなり技術や知識のある人でないと使えないものが多い。しかも実際に最初の3Dオブジェクトのプリントを開始するまでに、組み立てや調整で数時間もかかる”、Zimを作っているコネチカット州StamfordのZeepro社は、Kickstarterのページでこう主張している。“私たちが作りたいのは、買って箱から出したらすぐに使えるパーソナル3Dプリンタだ”。

Zimは、消費者製品に必要な、完全なプラグ&プレイを目指している。プリント工程に余計なものがなく、プリンタをインターネットに接続→モデルをダウンロード→Zimのアプリケーションを開く→プリントする、…それだけだ。すっきりとしたアルミ製の筐体、プリンタに付いているカメラが撮影するプリントの進捗状況を、スマートフォンのアプリで見られる(長時間プリンタのそばにいなくてもよい)、フィラメントの色はカートリッジ方式で簡単に変えられる(カートリッジはユーザが充填可能)、などなど、消費者向けの配慮が行き届いている。

ネット接続はEthernetとWiFiの両方を提供、Zimのアプリからだけでなく、Webブラウザからリモートでも操作できる。プリントヘッドがデュアルエクストルーダなので、同時に2色プリントができる。また、ワンエクストルーダ方式で素材に水溶性のPVAを使うと、下のビデオのように、複雑なオブジェクトを単純な工程でプリントできる。

Zimのプリント精度は1レイヤが50ミクロン、最大体積は205立方インチ(5.9”x5.9”x5.9”)だ。そしてプリントの最大速度は110 mm/s。

しかし3Dプリンタは、お値段も普及を阻んでいる要因だが? Gartnerの予想では、今後大型の多国籍小売り企業が扱うようになり、需要が増えると価格は大幅に下がるというけど。

ZimのKickstarter支援者特別価格は599ドル、発売予定は2014年3月だ。一般小売価格は、これより高いだろう…899ドルぐらいか。今Kickstarter上では目標額30万ドルの約2/3が集まり、締切りまであと20日を残している。

[原文へ]
(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))


投稿者:

TechCrunch Japan

TechCrunchは2005年にシリコンバレーでスタートし、スタートアップ企業の紹介やインターネットの新しいプロダクトのレビュー、そして業界の重要なニュースを扱うテクノロジーメディアとして成長してきました。現在、米国を始め、欧州、アジア地域のテクノロジー業界の話題をカバーしています。そして、米国では2010年9月に世界的なオンラインメディア企業のAOLの傘下となりその運営が続けられています。 日本では2006年6月から翻訳版となるTechCrunch Japanが産声を上げてスタートしています。その後、日本でのオリジナル記事の投稿やイベントなどを開催しています。なお、TechCrunch Japanも2011年4月1日より米国と同様に米AOLの日本法人AOLオンライン・ジャパンにより運営されています。