刷新したZoom用スキンで自己表現とインクルージョンにフォーカスする「Macro」

生産性は多くの大企業にとって、パンデミック以前からの重要課題であり、それ以降、ますます重要になっている。しかし、Macro(マクロ)のファウンダーAnkith Harathi(アンキス・ハラチ)氏とJohn Keck(ジョン・ケック)氏は違う方法をとろうとしている。

同スタートアップのZoom SDKを利用したプロダクトは、開発チームによって再構築されたのち、米国時間8月25日に再スタートを切った。

430万ドル(約4億7000万円)のシード資金をFirstMarkのリードで調達したMacroがベータ版を公開したとき、基礎となるアイデアは、Zoom会議には本当に役立つ(かつ誰にでも使える)インフラストラクチャーがないということだった。同社はソリューションとして、ユーザーが会議の最中にToDoリストや結論などを書き込めるZoom用オーバレイを開発した。Macroはその情報をGoogleドキュメントに転送し、参加者に送る。

同プロダクトはユーザーがレイアウトを選択するオプションも提供しており、参加者のサムネイルを全画面を占有させずにブラウザーや好きなアプリケーション上に表示するスキンもある。Airtime(エアタイム)という、参加者がミーティング中にどれだけ話していたかを表示して、全員の声が届くようにする機能もあった。

その最後の機能、そしてMacroユーザーからのフィードバックが、今回の改定バージョンを生み出した。当初の生産性中心から、自己表現へと焦点をシフトしたのだ。

「未来のビデオコミュニケーションは、最も親密なコミュニケーションの1つとなり、高度にパーソナライズされると私たちは信じています。あなたと私は基本的にまったく異なる人間です」とハラチ氏はZoomを通じて私に話した。「しかし私たちは現在、Zoom時代にいて、全員が同じジェネリックなインターフェイスを使っています。どんなに違う人であっても」。

新しいMacroでは、ユーザーが図形、カラー、フィルターなどを使ってインターフェースをパーソナライズして自分を表現できる。さらに同社は、あるビッグネームアーティスト(後日発表)とのコラボレーションでZoom会議中にユーザーが使えるスペシャルアクションを提供しようとしている。他のメンバーがMacroを使っていてもいなくても、あなたがMacroを使って表現したものを相手は見ることができる。

初期バージョンからあるMacroの機能も残っている、たとえばAirtimeだ。ハラチ氏とケック氏はTechCrunchに伝えたところによると、2020年7月の公開当初に受け取ったフィードバックで多かったのは、自己表現とインクルーシブの機能が最もユーザーに共鳴し、生産性機能を使っている人はほとんどいない、というものだった。

Macroは、ユーザーが別のアプリケーションで共同作業をしながらZoomで互いを見ることのできるスキンも再登場させる予定で「Rooms」と呼んでいる。Macroは現在MacOSで動作している。

会社はボトムアップアプローチを続けて成長している。プロダクトは使いたい人に無料で提供され、組織の全員が参加しなくてもよい。

Macroは、ビデオ会議の巨人が焦点をアプリエコシステムにシフトするのに合わせてZoomの波に乗っている。ハラチ氏とケック氏は、ビデオ会議にとってのMacroは、メールにとってのSuperhumanと同じだと信じているが、Macroは生産性よりも自己表現に焦点を合わせている点は異なる。

2人はビデオ会議の発展が続くにつれ、UIの勝者が多くを得ると信じていて、会社はその勝者になることを目指している。

 

関連記事
仮想の窓を通しリモートワーカーがオフィスと「つながっている感」を保つVideo Window Remote
遠隔通訳プラットフォームのInteractioがコロナ禍でのビデオ会議需要急増で12倍の成長
進化したビデオ会議のmmhmmは半分ジョークの社名でもソフトバンクなどから約110.6億円調達
画像クレジット:Macro

原文へ

(文:Jordan Crook、翻訳:Nob Takahashi / facebook

投稿者:

TechCrunch Japan

TechCrunchは2005年にシリコンバレーでスタートし、スタートアップ企業の紹介やインターネットの新しいプロダクトのレビュー、そして業界の重要なニュースを扱うテクノロジーメディアとして成長してきました。現在、米国を始め、欧州、アジア地域のテクノロジー業界の話題をカバーしています。そして、米国では2010年9月に世界的なオンラインメディア企業のAOLの傘下となりその運営が続けられています。 日本では2006年6月から翻訳版となるTechCrunch Japanが産声を上げてスタートしています。その後、日本でのオリジナル記事の投稿やイベントなどを開催しています。なお、TechCrunch Japanも2011年4月1日より米国と同様に米AOLの日本法人AOLオンライン・ジャパンにより運営されています。