割り勘アプリ「paymo」、アプリのダウンロードをしなくても支払い可能な新機能が登場

連続起業家の木村新司氏が率いるスタートアップのAnyPay。同社が3月にリリースしたのが、個人間の決済(割り勘)アプリの「paymo(ペイモ)」だ。

ペイモは飲み会やレジャーなどでの、友人との割り勘に特化した決済アプリだ。支払いを担当したユーザー、つまり割り勘の幹事がレシートを撮影し、アプリ上で1人あたりの支払額を入力。割り勘を行う友人たちにアプリ上で支払い依頼を送ればOK。友人らのアプリには支払い依頼が届くので、あらかじめアプリに登録しておいたクレジットカードで支払いを行うことができる(これは資金移動業者として登録が必要となる「送金」ではなく、個人間での「支払い」と定義している。つまりpaymoは収納代行サービスという位置付けだ)。幹事のアプリには友人からの支払い額がチャージされ、paymoでの支払いに利用したり、現金として引き出したりできる(直接的な現金のチャージはできない)。

個人間の「支払い」という手段に限定することで、ユーザーの本人確認が必要となる個人間送金と同様の機能を手軽に実現したこのサービスだが、まだまだ課題は少なくない。その1つが、「アプリのダウンロード」だ。僕も実際にサービスを何度か使って実感したが、あらかじめ登録しておいたクレジットカードで支払いができるとはいえ、初回はアプリをダウンロードして、カード登録しておかないと利用できない。いざ割り勘の際にアプリをダウンロードして、カードを登録して……というのは割と時間がかかるものだった。

そんな課題を解決するのが、4月5日に発表された「アプリなし支払い」の機能だ。この機能を利用すれば、paymoをダウンロードしていないユーザーであっても幹事に対してウェブ上での支払いが可能になる。具体的には、幹事がアプリ上で友人に対しての支払い依頼を行う際、LINEやメールなどでユニークなURLを友人に送信する。友人らがURLをクリックすれば、支払い用のウェブページが表示されるので、名前と電話番号を入力。SMSで認証を行えば、クレジットカード番号をウェブ上で入力すれば支払いは完了する。

「アプリなし支払い」のイメージ

AnyPayの木村氏は、具体的な数字は非公開としつつ、「paymoのダウンロード数は順調に伸びている。1月にリリースして、2月3月は倍増している状況」と語る。その一方で、僕が経験したのと同じように、「初めて使う際、飲み会などの場でアプリをダウンロードして、名前やメールアドレス、クレジットカードを登録するというのは意外に大変。みんながアプリを入れていないとことが、幹事側のプレッシャーにもなっている」と説明。「僕らとしてはアプリをダウンロードしてもらいたいが、それよりまずは『クレジットカードで割り勘ができる』ということを体験してもらいたい」と新機能提供の意図を語った。

AnyPay代表取締役の木村新司氏

なおAnyPayではpaymoに先駆けて、2016年9月よりウェブ決済サービスの「AnyPay」を提供している。このサービスは、アカウント作成後、自分の売りたいアイテムを登録すれば、ユニークなURLを発行してオンラインで販売できるようになるサービス。こちらに関しても具体的な数字は非公開ながらサービスは成長しているという。

「SEOなどで集客するというよりも、ダイレクトなコミュニケーションで伸びている。いまやTwitterやFacebook上で見えているコミュニケーションは全体のごく一部(小さなグループ内での「ネットで見えない」コミュニケーションが中心になっているという意味)。トラフィックを分析するのは難しい。ECよりも結婚式の二次会やカンファレンス、セミナーといったオフラインイベントの決済に利用されている」(木村氏)

同社では今後、paymoとAnyPayのサービス連携なども強化しつつ、paymoの年内700万ダウンロードを目指すとしている。

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TechCrunch Japan

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