創業期のスタートアップとエンジェル投資家を結ぶ「Tokyo Angel Network」、ANRIが立ち上げ

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独立系ベンチャーキャピタルのANRIが、創業前後のスタートアップとエンジェル投資家のマッチング支援に乗り出した。2月3日より「Tokyo Angel Network」を立ち上げる。まずはGoogle Docs上で、スタートアップがエンジェルに対して事業や資本政策のメンタリングを希望するスタートアップを募る。

Tokyo Angel Networkに参加するエンジェル投資家は川田尚吾氏(ディー・エヌ・エー共同創業者)、木村新司氏(グノシー・アトランティス創業者)、山田進太郎氏(メルカリ・ウノウ創業者)、笹森良氏(フンザ創業者)、赤坂優氏(エウレカ創業者)、佐藤裕介氏(フリークアウト・イグニス創業者)、中川綾太郎氏(ペロリ創業者)の7人。応募するスタートアップの事業プラン対してANRIがスクリーニングを実施。一定基準(具体的には公開していないが、市場性や実現性、起業家の熱意といった話だろう)を満たしたスタートアップをエンジェルに紹介するという。ただしANRIはあくまでプラットフォームを運営するという位置付けになっており、応募するスタートアップへの投資の権利や義務を持たない。

このネットワーク、あくまでメンタリングのためのマッチングであり、それ以上の内容はうたっていない。だが、ここでエンジェルと話す機会を得てコミュニケーションをとることがきっかけとなって、将来的に投資や支援に繋がる可能性は決して低くないだろう。

VCとエンジェルで担えることは違う

ANRI代表パートナーの佐俣アンリ氏いわく、エンジェル投資をめぐる課題として、「スタートアップは良いエンジェルへのアクセス方法がない、一方でエンジェルはスタートアップからたくさんの連絡が来てしまうのが困る」ということがあるのだという。エンジェルへのアクセスがないゆえにシードVCからの調達を受けたあとにエンジェル投資を受ける、なんていうケースも少なくないそうだ。

日本でエンジェル投資家による出資といえば、数百万円程度というケースが少なくないので、シードファイナンスでバリュエーションが上がった後になると、エンジェルの持てる株式は非常に少なくなる。以前にも触れたが、そもそもエンジェル投資というのは「リターンありき」という話ではなく「スタートアップへの還元」という意味合いがある。なので持てる株式の割合がすべてではないのだが、それでもエンジェルこそが最初にスタートアップを支援すべき、というのがTokyo Angel Networkの考えだ。

「VCが担えることと、エンジェルが担えることは違う」と佐俣氏は語る。もちろんVCにはいろいろなバックグラウンドの人物がいるが、同氏は「僕は起業家出身ではないので、メンタルやチームの雰囲気について言ってあげるようなことしかできない」と自らについて語った上で、「例えばSEOの話なんかは3カ月でトレンドが変わる話。であれば現役でその領域を見ているエンジェルに力を貸してもらうのが一番いい。またイグジットして少し経った起業家したエンジェルなら、現役とは違う、達観したアドバイスもできる。何より尊敬している人のお金を預かることにこそ責任感と自信になるのではないか」とした。

米国ではAngel Listのようなエンジェル投資家のマッチングプラットフォームがある。もちろん日本では法律やエンジェルの数も違うので(そもそもこの数年で自らのスタートアップをイグジットさせた起業家が増えたことで、やっとエンジェルに関する話題も出てきたのではないか)そのまま持ってくるというわけにもいかないのだろうが、Tokyo Angel Networkも将来的にはそういったプラットフォームを目指すとしている。

photo by
Josh McGinn

投稿者:

TechCrunch Japan

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