創業者の苦労から生まれた語学留学の口コミサイト「School With」、East Venturesから資金調達

ここ数年、「語学留学のためにフィリピンに3カ月行ってくる」なんてソーシャルメディアで投稿する友人を見かけることが増えた。実際その数は急増しているそうで、フィリピン政府観光省の発表によると、2010年時点での日本人の留学渡航者は4000人だったが、2013年には2万6000人まで拡大したそうだ。

その理由は日本との距離もさることながら、1日6時間の学習に三食寝室付きで月額15万円程度といった低価格であること。ちなみに日本での人気が高まる以前からフィリピンへの留学渡航者が多かったのは韓国なのだが、現在その数は年間10万人になっているそうだ。

だが留学渡航者が多くなっていく中で、問題も出てきた。いくらウェブサイトで講師や設備の質をうたっていても、いざお金を払って現地に行くとぜんぜん違う環境だった…ということが起こるようになったそうだ。僕が聞いた最悪のトラブルは、語学学校が運営の資格を持っておらずに閉鎖してしまい、渡航者は自身の授業を終える前に帰国せざるを得なくなるというものだった。

School With」は自身も語学留学で苦い経験をしたという起業家が立ち上げた語学留学の口コミサイトだ。運営会社のSchool Withは12月11日、East Venturesからの資金調達を発表した。金額は非公開だが、数千万円規模とみられる。

School Withの代表取締役社長である太田英基氏は、無料コピーサービス「タダコピ」を運営するオーシャナイズの創業メンバー。同社の取締役を退任したのち、フィリピンへの語学留学(ここで自身もネットワーク環境が説明と違ったり、「入学前に聞いていない」というようなトラブルに遭ったそうだ)の後に世界一周して帰国。2013年にSchool Withを立ち上げた。

School Withでは、日本人を受け入れる語学学校の情報、金額や英語使用のポリシー(中には日本語を使うと罰金というようなスパルタな学校もある)といった学校側から提供される情報が掲載され、それぞれの学校に紐付くかたちで実際に留学したユーザーの実名による口コミが投稿されている。「留学エージェントは数多いが、強みになるのは実名での口コミ。これがキラーコンテンツになっている」。同社では学校と提携し、資料請求や申し込みの代行などで収益を上げている。

その口コミの数は現在1000件。正直多いと言える数ではないが、「例えば食べログのように食事を投稿するなら、外食の機会によっては1日数回投稿するチャンスがある。でも留学は一生に一度あるかないかという人がほとんど。数より質を重視している」(太田氏)。また口コミの他に、留学体験のあるユーザーからのコラムも掲載する。現在はフィリピン留学に特化しているが、今後は欧米などカバーする地域を拡大する予定。

同社は今回の調達を元に人材獲得を進めるほか、サービスを展開する地域をフィリピン以外に拡大していく。また留学のエージェントだけでなく、留学後の学生を対象にした人材ビジネスを展開するそうだ。


投稿者:

TechCrunch Japan

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