動画制作クラウドのViibarがヤフーと資本業務提携、既存株主含め7億円の資金調達

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「動画元年」なんて言われていたのは去年か一昨年のことだっただろうか。ともかく動画に関するビジネスが急速に拡大しているのは事実だ。十代のカップルが自らの動画をアップする「MixChannel」は女子中高生の2人に1人が利用しているそうだし、動画広告のプラットフォームも複数スタートしている。UUUMのようなYouTuberのマネジメント会社も登場してきたし、動画制作向けのクラウドソーシングサービスもある。

そんな動画制作特化型クラウドソーシングサービスの1つ、「Viibar」を運営するのがViibarだ。同社は5月18日、ヤフーと資本業務提携を行うことを明らかにした。

資本提携では、ヤフーに加えて既存株主であるグロービス・キャピタル・パートナーズおよびグリーベンチャーズが出資。総額約7億円の第三者割当増資を実施した。あわせて、ヤフー執行役員 マーケティングソリューションカンパニー長の荒波修氏が社外取締役に就任する。なお、業務提携の詳細については、6月後半にも詳細を発表するとしている。

動画広告が成長。売上は前年比30倍に

Viibarは動画制作に特化したクラウドソーシングサービスだ。現在国内を中心に約2000人のクリエーターがユーザー登録。動画制作はスタッフが進行管理や制作スタッフのマッチングを担当。クライアントとクリエーターはオンライン上でコミュニケーションを取りながら動画を制作していく。

Viibar代表取締役の上坂優太氏

Viibar代表取締役の上坂優太氏

これまで、動画広告や商品説明動画などウェブで利用される動画をはじめ、テレビCMやOOH(交通広告や屋外広告)などに向けた動画を制作してきた。売上高は非公開ということだったが、「2013年度から2014年度で30倍成長」(Viibar代表取締役の上坂優太氏)なのだそう。

初年度ということでベースとなる売上が決して大きいとは思わないが、それでも30倍というのはすごい数字だ。この成長の背景にあるのは、急増する動画広告のニーズ。「テレビCMやOOHなど、利用の幅も広がっているが、そこはあくまで一次関数的な成長でしかない。当初から明確にあったウェブの動画広告が大きく成長している。市場ではクリエイティブ不足が明確な課題になってきた」(上坂氏)

制作だけでなく、“成果”に結びつく機能の提供へ

上坂氏は、「安かろう悪かろうではない」と、Viibarで作成する「動画」そのものの品質が評価されていると説明するが、同時に「動画広告」としての品質を高めているところだと語る。

動画広告は、単純に動画としてのクオリティだけでなく、動画を閲覧した人がそのサービスを利用したり、商品を購入するといった“成果”が求められるもの。そのため、どれだけイケてる動画を作るかということではなく、動画広告をユーザーに配信するという一連のフロー——企画、制作者のマッチング、動画制作、動画の配信、効果測定、そして効果測定を元にしたPDCAを回す——を通じて、成果を出していかなければならない。

だがこれまでのクラウドソーシングが担当していたのは「制作者のマッチング」「動画制作」といったパート程度だ。Viibarでは現在、動画広告にまつわる一連のフローを自社でまかなえるよう、各種開発を進めているのだそうだ。「動画広告はクリエイティブの要素が大きいが、そのクリエイティブを評価して、次の企画に落とし込むというところまでをデータドリブンでやっていく」(上坂氏)

具体的な内容については聞けなかったが、動画制作に加えて動画配信やアナリティクスの機能も提供していくということだろう。実際、今回の調達を機に、データアナリストなどの採用も始めていると聞いた。

ヤフー本体が出資するも「基本的にはIPO目指す」

ヤフー本体によるスタートアップへの出資というのは、それほど多いケースではない。Facebookを使った懸賞サービスを提供していたクロコスや、映画チケットの共同購入サービスを提供していたブルームなど、買収案件が比較的目立っている印象だ。

ヤフーによる買収の可能性について上坂氏に尋ねたところ、「基本的にはIPOを目指している。動画広告は急速に伸びており、特にBtoB、BtoBtoCでレバレッジを書けてサービスを展開するには、以下にジャイアントと組むかというのは重要になると思っている。ただし我々はYouTubeやFacebookなどともすでに取引もあるし、基本的に独立した存在」としている。

投稿者:

TechCrunch Japan

TechCrunchは2005年にシリコンバレーでスタートし、スタートアップ企業の紹介やインターネットの新しいプロダクトのレビュー、そして業界の重要なニュースを扱うテクノロジーメディアとして成長してきました。現在、米国を始め、欧州、アジア地域のテクノロジー業界の話題をカバーしています。そして、米国では2010年9月に世界的なオンラインメディア企業のAOLの傘下となりその運営が続けられています。 日本では2006年6月から翻訳版となるTechCrunch Japanが産声を上げてスタートしています。その後、日本でのオリジナル記事の投稿やイベントなどを開催しています。なお、TechCrunch Japanも2011年4月1日より米国と同様に米AOLの日本法人AOLオンライン・ジャパンにより運営されています。